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フェールの花-価値のない王子は完璧な王に愛される-
第1章・王籍の剥奪 4 翻弄される夜
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二人の背中が小さくなったところで、改めてコールを見る。
「ちゃんとした挨拶もせず申し訳ありませんでした。クライス・アルブレットです」
膝を折って正式な礼をすると、必要ないと言うように首を振られる。
「約束の時間を間違えたらしい。他に何か用事はあるか?」
用事は何もないはずだが、約束の意味もわからない。
「いいえ、今夜はもう休むだけです」
「ではよろしく頼もう、クライス王子」
今夜は疑問ばかりが浮かぶ日らしい。頼まれても何をしていいのかさっぱりわからない。
こっちは困っていると言うのに、ドアを閉じたコールは鍵まで閉める。何かがおかしいことは簡単に理解できたが、深く考えようとすると集中できない。
状況を正確に把握したいのに、なぜか頭がくらくらしてくる。熱でもあるのか、少し体が火照っているような気もする。
おかしなところはなかったはずなのに、夜着が触れる肌からむずかゆいような変な感覚がする。
「クライス王子?」
呼ばれて視線を上げて息を飲んだ。いつの間にかコールが目の前にいる。青灰色の綺麗な瞳が、ゆっくりと瞬きするのが見える。
遠くから見ているだけでは知ることができなかった瞳の色に、視線がそらせなくなってしまう。
「あ、その、クライスで構いませんので……」
「ではクライス、大丈夫か?」
伸びてきた手が、頬と首に触れた瞬間、必死に入れていた力が一気に抜ける。声を出さずにいられたことが奇跡とすら思った。
崩れ落ちる体を、コールは簡単に抱えてベッドまで運んでくれる。杖の転がる音が、どこか遠くで聞こえているような錯覚をする。
横にしてもらう時に、夜着越しに熱を感じて肌が反応して震える。なぜこんなにも呼吸がつらくなって、体が震えているのかわからない。
お礼を言わなければと思うのに、変な声が出てしまいそうで口を開くことすらできなくなっている。
「話を聞いている時は全く信じていなかったんだがな」
ベッドに横たえられて、覆いかぶさるようにして見下ろしてくるコールから目が外せない。何度も遠くから見ていたコールを、息が感じられる程近くで見ている。
息が感じられる程? 働かない頭で不思議に思う。
なぜこんなにも近いのか。まさかアラガスタの王が額を合わせて熱を測ろうとしているのだろうかとあり得ないことを考えてしまう。
頬にコールの黒髪が流れ落ちて、くすぐったさに身をよじろうとする。想像よりも柔らかな髪に気を取られていると、唇が何かに塞がれていた。
髪よりも弾力があって、柔らかく暖かい。体温がさらに上がった気がする。
体中、全てが熱くて物足りない感覚がする。わからない何かを与えてもらいたい。
「夜毎、男女問わずベッドに誘っているというのは本当か?」
最初、何を言われているか理解できなかった。ただ言葉が聞こえただけで、意味がわかるまでに時間がかかる。
「何を……んぅ……」
問い返そうとする口は塞がれる。何で塞がれているか察するのと同時に、さっきまで触れていた柔らかいものが唇だったと気づく。
何か誤解が生じていることに気づいて、慌てて体を離そうとするのに力が入らない。ひどく体が重く感じる。
「口を開けろ」
言われるままに開けてしまいたくなる気持ちを押し殺す。必死に口を閉ざしていると、もう一度触れるだけのキスをされる。
首を微かに振って拒否の気持ちを示すと、コールの瞳が細められる。
「何が気に入らない?」
「んっ……」
指が顎のラインをなぞって、首をゆっくりと撫でていくのがわかる。このままじゃまずいと必死に首を振るのに、動きは緩慢で説得力に欠けている。
「随分と気持ち良さそうじゃないか」
コールの視線の先を追うと、信じられないものが見える。生まれてから意識すらしたことのない胸の突起が、夜着を押し上げている。
見てしまったら最後、視線をそらせなくなった。
「どうして欲しい?」
どこか甘さを含んだ声に、何も言えなかった。どうして欲しいのかわからないのに、不思議と突起がじんじんと痺れるような感覚を伝えてくる。
ゆっくりとコールの顔が落ちていくのを見て、危ないと感じる。けれど体は動かないまま、ゆっくりと開いたコールの口から見える赤い舌が動く。
「あぁっ!」
声を抑えることなんて不可能だった。勝手に腰が跳ねて、夜着の上から舐め上げられた突起がさらに膨れる。
「今までどれだけ遊んできた? こんなに敏感なら毎夜誰かを誘うという弟殿下の話も、本当だったらしい」
大きな手のひらを腰からゆっくりと胸に向かって滑らされる。ただ触れられているだけなのに、体は異常なほどに反応してしまう。
コールが何を言っているのか、考えなければいけないのに頭が回らない。いたずらに触れてくる指に、体だけではなく全て翻弄されている。
些細な刺激でも感じすぎてしまっている姿を見るコールの瞳が、今度は楽しそうに細められる。再び唇を塞がれて、舌が開くことを強要してくる。
首を振って拒もうとした瞬間、強烈な感覚に唇を開けてしまう。溢れ出る声を塞ぐように、コールの唇が重なっていく。
ちょっと前に舐め上げられた突起を、指で強く摘ままれた。痛みを伴うほど張り詰めていた突起を、遠慮なく潰し擦り、いたずらに弾かれる。
「ひっ……んっぅう、あぅ……!」
口の中で、舌に舌を舐められてくぐもった声が漏れた。けれど嫌悪感を覚えるどころか、ゾクッとした感触が這い上がってくる。
突き放そうとして何とか持ち上げた腕は、何もせずに落ちる。そして与えられる快楽を堪えるために、シーツを緩く握っては指を開くを繰り返す。
「ふぅんぅ……っく……」
執拗なほどに絡みついてくる舌のせいで溢れてくる唾液を、何度も何度も飲み込む。最後に強く舌を吸い上げられた時の、擦れ合う感触にまだ腰が激しく跳ねてしまう。
糸を伸ばしながら離れていく唇に、胸が激しく上下する。熱くて熱くて、呼吸すらままならない。
「はぁ、はぁ……はぁ……」
必死に息を整えようとするのに、コールの舌や指は止まることなく肌を触り味わっていく。
「あぁああっ!」
はだけられた夜着から現れた赤く染まった突起を、舐めるどころか吸い上げられた。チュクっという可愛い濡れた音と違って、衝撃は半端なかった。
感じすぎて苦しくて、反射的に捻って胸を隠そうと体が動く。けれどピクリとも動かず、コールの腕に閉じ込められていることを思い知らされる。
もうこんなにもつらいことはないと思っていた。コールの右手の指が腿の内側に入り込み、知らないうちに硬くなってしまっていた屹立に触れるまで。
「…………っ!」
声にならない悲鳴が喉を通り抜ける。軽く握られたのを感じた瞬間、もう我慢できずに精液が溢れ出ていた。わけもわからず、瞳から涙がポロポロと流れる。
「ひぁ、やぁああ! やめ……!」
すでに射精しているというのに、コールは握る手を動かす。つらいのに、抵抗しているのに止めてくれない。
頭がおかしくなってしまうと思う頃、手が止まる。ひどく感じすぎている屹立は、握られたままの手の中でヒクン、ヒクンと震えている。
「いじめ過ぎたか?」
流れた涙を舐めとられて、また体が震える。いじめ過ぎたと言いながら、手の中の屹立を放してくれない。
「な、んで……こんな、こと……」
「何で? クライスが誘ったからだろう。弟殿下に言われたから来たまでだ」
あやすように左手の指で髪を梳かれながら、触れるだけのキスをされる。
「僕は、誘ってなんていない」
震える声で訴えると、微かな笑い声が返ってきた。
「この体で? わざわざ媚薬を飲んで待っていたんじゃないのか? 何を飲んだ?」
「あっうんぅ……」
緩く右手を動かされて、グチュ、グチュという卑猥な濡れ音が聞こえる。動かされるたび、白濁した液体が流れていくのを感じる。
淡白な方で、本当に必要に迫られた時くらいしか一人で処理もしない。だからこんなに溢れるほど射精したという事実が信じられなかった。
「何を口にした?」
喘ぎ声ばかり溢れてしまう口を必死に閉じて思考をまとめる。答えはわかっていたが、認めたくないと思う心が邪魔をする。
「言ってみろ」
耳元で囁かれるだけで、感じてしまって体が跳ねる。どんなことを聞かれても、素直に答えてしまいそうな魅力的な声だ。
「クリースが……、赤い……液体……」
クリースから贈られたグラス一杯の葡萄ジュース。答えを聞いたコールは少しだけ悲しい目をした気がした。
なぜクリースがこんなことをと聞こうとした口は塞がれていた。髪を梳くのと同じように、あやすような優しいキスだった。
滑り込んだ舌も、激しく奪うような動きではない。まるでぬるま湯に浸かっているような心地良さが体を支配していく。
もうこのまま眠ってしまいたいのに、体を支配しているコールの指や舌や熱は止まってくれなかった。
「ちゃんとした挨拶もせず申し訳ありませんでした。クライス・アルブレットです」
膝を折って正式な礼をすると、必要ないと言うように首を振られる。
「約束の時間を間違えたらしい。他に何か用事はあるか?」
用事は何もないはずだが、約束の意味もわからない。
「いいえ、今夜はもう休むだけです」
「ではよろしく頼もう、クライス王子」
今夜は疑問ばかりが浮かぶ日らしい。頼まれても何をしていいのかさっぱりわからない。
こっちは困っていると言うのに、ドアを閉じたコールは鍵まで閉める。何かがおかしいことは簡単に理解できたが、深く考えようとすると集中できない。
状況を正確に把握したいのに、なぜか頭がくらくらしてくる。熱でもあるのか、少し体が火照っているような気もする。
おかしなところはなかったはずなのに、夜着が触れる肌からむずかゆいような変な感覚がする。
「クライス王子?」
呼ばれて視線を上げて息を飲んだ。いつの間にかコールが目の前にいる。青灰色の綺麗な瞳が、ゆっくりと瞬きするのが見える。
遠くから見ているだけでは知ることができなかった瞳の色に、視線がそらせなくなってしまう。
「あ、その、クライスで構いませんので……」
「ではクライス、大丈夫か?」
伸びてきた手が、頬と首に触れた瞬間、必死に入れていた力が一気に抜ける。声を出さずにいられたことが奇跡とすら思った。
崩れ落ちる体を、コールは簡単に抱えてベッドまで運んでくれる。杖の転がる音が、どこか遠くで聞こえているような錯覚をする。
横にしてもらう時に、夜着越しに熱を感じて肌が反応して震える。なぜこんなにも呼吸がつらくなって、体が震えているのかわからない。
お礼を言わなければと思うのに、変な声が出てしまいそうで口を開くことすらできなくなっている。
「話を聞いている時は全く信じていなかったんだがな」
ベッドに横たえられて、覆いかぶさるようにして見下ろしてくるコールから目が外せない。何度も遠くから見ていたコールを、息が感じられる程近くで見ている。
息が感じられる程? 働かない頭で不思議に思う。
なぜこんなにも近いのか。まさかアラガスタの王が額を合わせて熱を測ろうとしているのだろうかとあり得ないことを考えてしまう。
頬にコールの黒髪が流れ落ちて、くすぐったさに身をよじろうとする。想像よりも柔らかな髪に気を取られていると、唇が何かに塞がれていた。
髪よりも弾力があって、柔らかく暖かい。体温がさらに上がった気がする。
体中、全てが熱くて物足りない感覚がする。わからない何かを与えてもらいたい。
「夜毎、男女問わずベッドに誘っているというのは本当か?」
最初、何を言われているか理解できなかった。ただ言葉が聞こえただけで、意味がわかるまでに時間がかかる。
「何を……んぅ……」
問い返そうとする口は塞がれる。何で塞がれているか察するのと同時に、さっきまで触れていた柔らかいものが唇だったと気づく。
何か誤解が生じていることに気づいて、慌てて体を離そうとするのに力が入らない。ひどく体が重く感じる。
「口を開けろ」
言われるままに開けてしまいたくなる気持ちを押し殺す。必死に口を閉ざしていると、もう一度触れるだけのキスをされる。
首を微かに振って拒否の気持ちを示すと、コールの瞳が細められる。
「何が気に入らない?」
「んっ……」
指が顎のラインをなぞって、首をゆっくりと撫でていくのがわかる。このままじゃまずいと必死に首を振るのに、動きは緩慢で説得力に欠けている。
「随分と気持ち良さそうじゃないか」
コールの視線の先を追うと、信じられないものが見える。生まれてから意識すらしたことのない胸の突起が、夜着を押し上げている。
見てしまったら最後、視線をそらせなくなった。
「どうして欲しい?」
どこか甘さを含んだ声に、何も言えなかった。どうして欲しいのかわからないのに、不思議と突起がじんじんと痺れるような感覚を伝えてくる。
ゆっくりとコールの顔が落ちていくのを見て、危ないと感じる。けれど体は動かないまま、ゆっくりと開いたコールの口から見える赤い舌が動く。
「あぁっ!」
声を抑えることなんて不可能だった。勝手に腰が跳ねて、夜着の上から舐め上げられた突起がさらに膨れる。
「今までどれだけ遊んできた? こんなに敏感なら毎夜誰かを誘うという弟殿下の話も、本当だったらしい」
大きな手のひらを腰からゆっくりと胸に向かって滑らされる。ただ触れられているだけなのに、体は異常なほどに反応してしまう。
コールが何を言っているのか、考えなければいけないのに頭が回らない。いたずらに触れてくる指に、体だけではなく全て翻弄されている。
些細な刺激でも感じすぎてしまっている姿を見るコールの瞳が、今度は楽しそうに細められる。再び唇を塞がれて、舌が開くことを強要してくる。
首を振って拒もうとした瞬間、強烈な感覚に唇を開けてしまう。溢れ出る声を塞ぐように、コールの唇が重なっていく。
ちょっと前に舐め上げられた突起を、指で強く摘ままれた。痛みを伴うほど張り詰めていた突起を、遠慮なく潰し擦り、いたずらに弾かれる。
「ひっ……んっぅう、あぅ……!」
口の中で、舌に舌を舐められてくぐもった声が漏れた。けれど嫌悪感を覚えるどころか、ゾクッとした感触が這い上がってくる。
突き放そうとして何とか持ち上げた腕は、何もせずに落ちる。そして与えられる快楽を堪えるために、シーツを緩く握っては指を開くを繰り返す。
「ふぅんぅ……っく……」
執拗なほどに絡みついてくる舌のせいで溢れてくる唾液を、何度も何度も飲み込む。最後に強く舌を吸い上げられた時の、擦れ合う感触にまだ腰が激しく跳ねてしまう。
糸を伸ばしながら離れていく唇に、胸が激しく上下する。熱くて熱くて、呼吸すらままならない。
「はぁ、はぁ……はぁ……」
必死に息を整えようとするのに、コールの舌や指は止まることなく肌を触り味わっていく。
「あぁああっ!」
はだけられた夜着から現れた赤く染まった突起を、舐めるどころか吸い上げられた。チュクっという可愛い濡れた音と違って、衝撃は半端なかった。
感じすぎて苦しくて、反射的に捻って胸を隠そうと体が動く。けれどピクリとも動かず、コールの腕に閉じ込められていることを思い知らされる。
もうこんなにもつらいことはないと思っていた。コールの右手の指が腿の内側に入り込み、知らないうちに硬くなってしまっていた屹立に触れるまで。
「…………っ!」
声にならない悲鳴が喉を通り抜ける。軽く握られたのを感じた瞬間、もう我慢できずに精液が溢れ出ていた。わけもわからず、瞳から涙がポロポロと流れる。
「ひぁ、やぁああ! やめ……!」
すでに射精しているというのに、コールは握る手を動かす。つらいのに、抵抗しているのに止めてくれない。
頭がおかしくなってしまうと思う頃、手が止まる。ひどく感じすぎている屹立は、握られたままの手の中でヒクン、ヒクンと震えている。
「いじめ過ぎたか?」
流れた涙を舐めとられて、また体が震える。いじめ過ぎたと言いながら、手の中の屹立を放してくれない。
「な、んで……こんな、こと……」
「何で? クライスが誘ったからだろう。弟殿下に言われたから来たまでだ」
あやすように左手の指で髪を梳かれながら、触れるだけのキスをされる。
「僕は、誘ってなんていない」
震える声で訴えると、微かな笑い声が返ってきた。
「この体で? わざわざ媚薬を飲んで待っていたんじゃないのか? 何を飲んだ?」
「あっうんぅ……」
緩く右手を動かされて、グチュ、グチュという卑猥な濡れ音が聞こえる。動かされるたび、白濁した液体が流れていくのを感じる。
淡白な方で、本当に必要に迫られた時くらいしか一人で処理もしない。だからこんなに溢れるほど射精したという事実が信じられなかった。
「何を口にした?」
喘ぎ声ばかり溢れてしまう口を必死に閉じて思考をまとめる。答えはわかっていたが、認めたくないと思う心が邪魔をする。
「言ってみろ」
耳元で囁かれるだけで、感じてしまって体が跳ねる。どんなことを聞かれても、素直に答えてしまいそうな魅力的な声だ。
「クリースが……、赤い……液体……」
クリースから贈られたグラス一杯の葡萄ジュース。答えを聞いたコールは少しだけ悲しい目をした気がした。
なぜクリースがこんなことをと聞こうとした口は塞がれていた。髪を梳くのと同じように、あやすような優しいキスだった。
滑り込んだ舌も、激しく奪うような動きではない。まるでぬるま湯に浸かっているような心地良さが体を支配していく。
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