フェールの花-価値のない王子は完璧な王に愛される-

淡海のえ

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フェールの花-価値のない王子は完璧な王に愛される-

第3章・籠の中 21 終わらない夜

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 自ら足を持たされて、全て見せることを強要された。屈辱的な姿をさせられているということを、必死に考えないようにする。

 消えていた赤いあとが、コールに口付けられてくっきりと肌に現れる。吸われ、食まれることで腰が溶けるような痺れが走る。

 足を落とさないようにしようとするのに、愛撫されると意識が散漫になって落としてしまう。

「もう我慢できないか?」

 罰を与えるように、いじられたくない胸の突起を必要に舐め吸われる。

「ぁ……あんっ……」

 手で口を塞ぐことができないから、堪えられずに声が漏れてしまう。でも結局、震わせ続けさせられた体を、制御することができない。

 シーツに落としてしまった足を持って、開いて見せなければと無意識に考える。そして考えたことの卑猥さに、我慢がきかなくなる。

 もう見せつけるように体を晒すことは無理だった。恥ずかしさにも、堪えられなくなっている。

 何も見えなくなるように、横になりたい。けれど何をされているのかよく見えるようにと、背にあてがわれた枕のせいで倒れられない。

 目の前でされていることを、ただ見ていることしかできなくて唇を噛む。

 コールはいつまで耐えられるか見てやろうと言った。赤く張れた胸の突起は、触れられなくてもじんじんして甘い痛みが走り続ける。

 屈辱だと余計に感じるのは、コールが全く乱れていないからなのかもしれない。翻弄されているのはクライスだけで、コールは涼しい顔をしているように見える。

 瞳に見えたと思った欲望は、間違いだったのだろう。いまのコールは、まるでクライスに拒否させたいと思っているとしか思えない。

 コールに対して好意がなければ、何とも思わなかったのかもしれない。何も考えず、ただ我慢するだけの行為になったはずだ。

 けれどコールの触れ方は優し過ぎて、勘違いしそうになる。もう音を上げてしまいたくなっている。

 どれだけ堪えればいいのか。何とか堪えているのは、国のためと自分に必死にいい聞かせているからだ。

 だから抵抗できない、してはいけないのだと。

「やぁ……ぁ……」

 すでに声もかすれてしまっているのに、コールは止めれくれない。何度目かわからない吐精は、量も少なく色も薄い。

 限界なのは、コールにだってわかっているはずだ。

「少し体力をつけた方がいい」

 さらっと何事もないように言われて、シーツを握りしめる。体力がないのも、肌が白すぎるのも、王である父に禁止されたからだ。

 ばれて罰を下されるのが自分だけだったら、いくらでも破っていたかもしれない。けれど罰せられるのは、必ず周りにいる者だった。

 無意識に睨んでしまうと、なぜかコールが嬉しそうに笑みを見せる。

「それだけ元気があるなら、これも大丈夫だろう」

 ゆっくりと下肢に落ちていくコールの顔に、反射的に体が逃げる。何をしようとしているのか、気づいてしまった。

 けれど力が入らない体は、簡単に動けなくされる。

「ひっ……んぅ、あぁ!」

 まだこんな大きな声が出せたのかと、自分でもびっくりする。頭も体もおかしくなりそうだ。

 視覚的にも、感覚的にも未知だった。熱い粘膜に包まれているものが信じられない。

 コールは何でこんなことまで平然とできるのか。ねっとりと裏筋を下から上に舐め上げられて、再び口に含まれる。

 断続的に喘ぎ声を上げさせられて、腰が勝手に跳ねてしまう。強過ぎる刺激から逃れようと、体が暴れる。

「もぉ……やめ……っぁあ……」

 イったら終わりにしてくれるのかもしれない。だったら早くイかせて欲しいと思うのに、イかされ過ぎた体は達してくれない。

「……ぅっ!」

 はぁ、はぁ、と荒くなった自分の呼吸がひどく耳に響く。さらに信じられない感触に、瞳を見開いた。

 生理的な涙が溢れて、視界がまたぼやけていく。グチュっという何度も聞かせた卑猥な音がして、体の中にゆっくりと指が入り込んでくるのがわかる。

 さっきまでずっと指を受け入れていた場所は、難なく指を飲み込んでしまう。喘ぎ声が止まらなくなって、溢れるどころかポロポロと涙が流れる。

 前と後ろを同時に刺激されて、呼吸すらままならない。激しい水音と、自分とは思えない喘ぎ声だけが聞こえる。

 何が何だかわからないまま、腰が激しく痙攣する。中に埋められた指を、何度も締め付けて震える。

 声にならない悲鳴のような喘ぎを響かせていた。心臓がばくばくして、快感が過ぎて痛みに感じる。

 やっとイけたのだと思ったのに、コールに口淫されている陰茎は芯を持っている。

「なんでぇ……」

 子供のような泣き声を漏らしてしまう。イったはずなのに陰茎が萎えてくれていないからだ。

「あんっ、あぁ、くぅ……やぁああ!」

 お腹の中に入り込んだ指が、いじって欲しくないところを的確に押してくる。指に合わせて腰が揺れ、陰茎から涙ほどの液体を溢れさせる。

 どうしたら終わりにしてくれるのか、回らなくなっている頭で考える。そしてコールの袖を引く。

「も、入れ……て、終わ……り……して」

 性交の知識は知っている。もちろん、コールに比べたら初歩の初歩しか知らなかったが……。

 ともかくコールが達してくれたら終わるはずだ。もう解放されたい。

 素直に袖を引かれてくれたコールの顔が目の前にある。あぁ、もうこれで終わりにできると安堵する。

 迷いなく背に腕を回して抱き着くと、目元に唇を落とされる。

「夜は長いと言った」

 柔らかな声と共に、再び濡れた音を響かせて陰茎を握られる。

「ひっ……」

 びくんと体が反応して、抱きしめる手に力が入る。コールに終わらせる気がないことが、わかってしまった。
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