フェールの花-価値のない王子は完璧な王に愛される-

淡海のえ

文字の大きさ
28 / 57
フェールの花-価値のない王子は完璧な王に愛される-

第4章・真意 27 冷めない体

しおりを挟む
 果てた後、ゆっくりと中から抜く。するとぐずるような声が微かに聞こえる。

 体が艶めかしく揺れて、なくなったものを求めるように秘部が収縮するのがわかる。ゆっくりと隘路を辿って落ちて来た白濁が、ポタっとシーツに垂れる。

「あっ……んぅっ……」

 微かな刺激にも反応してしまうのか、垂れるたびに腰が緩く揺れた。垂れてきたものを指ですくって、また中に入れて喘がせたい衝動に駆られる。

 情事の後の気だるげな表情も、眠そうに閉じようとする瞳も……。全てがコールを煽っているようにすら感じる。

 再び熱が集まって来るのを感じて、クライスから距離を取る。適当に服を羽織りながら、ベッドから離れた。

 湯に浸からせてやりたいところだが、人にいまの姿を見られるのを嫌がるだろう。音を立てずに部屋から出ると、昨晩のように衛兵に湯を持ってくるように伝える。

 気まずそうに視線をそらしながらも、素直に頷き走って行った。可愛いからとつい声を出させ過ぎてしまったが、もっと気を使うべきだったかと考える。

 もしくはスリアが言うように、そろそろ塔を壊す時が来たのかもしれない。安全であることは間違いないが、クライスの心は休まらないだろう。

 クライスに好きなように屋敷を建てさせるのもいいかもしれない。暇を持て余しているのは、ユイアナに言われなくても気づいている。

 心が少しでも軽くなるなら、図書室への出入りを許可しようかとも思う。しばらく考え事をしながら待っていると、衛兵が戻って来る。

「お待たせしました」

 湯気が上がる桶と清潔な布を渡される。

「悪いな」

「とんでもありません」

 本人の職務から外れたことを頼んでしまったことがネイトにばれたら、また怒られるだろう。

「……コール、様?」

 部屋に戻ると、ベッドからかすれた声が聞こえる。

「ここにいる」

 ナイトテーブルに桶を置いて、横に腰を下ろす。ほっとしたように、服の端を握られた。

 いちいちすることが愛らしくて、落ち着かせるように息を吐く。自らの身を危険に晒していることに気づかないのだろうか。

 無言で湯で濡らし絞った布で体を拭いてやる。昨日のように寝ていればいいのに、ぼんやりとした瞳でされていることを見ている。

「あ……自分で……」

 途中で何をさせているのかに気づいたのか、慌てて起き上がろうとする。

「大人しくしていろ」

 片手でそっと肩を押すと、クライスの体がベッドに沈む。赤く腫れてしまっている突起を拭くと、微かに腰が浮く。

 シーツを握った手が堪えるように震えているのがわかる。できる限り刺激を与えないようにしているが、湯を溜めさせた方が良かったかと思う。

 連日無理をさせたと思って止めたが、起き上がれないくらいに抱き潰してしまった方が良かったのかもしれない。白濁と透明な液体で汚れた腹を拭き、足を開かせて付け根に布を滑らせる。

 可哀そうなくらいに体が反応するのが伝わって来る。刺激されることで、中がうずくのか白濁が押し出されている。

 かき出してやらないといけないのに、敏感に体を震わせられると躊躇してしまう。まだ熱はゆっくりと燻っていて、触れば触るほど温度を上げさせられる。

 そっと陰茎に布を添えると、体を隠すようにクライスがまたうつ伏せになってしまう。

「ダメ……です。自分で、します」

 泣きそうな声で言われて、もう限界だった。

「わかった。ちゃんと拭け」

 クライスの手に布を握らせてやると、明らかにほっとしているのがわかる。あぁ、可哀そうにとは思うが、すでにこっちの熱は上がりきってしまっている。

 うつ伏せになった足を持ち上げて、下肢を横向きにさせて開かせる。

「やっ!」

 慌てたクライスが抵抗しようとするとが、される前に指を埋め込む。

「あ、あぁ……っ! や、やぁ……」

 ぐちゅりと濡れた音がして、指が入った分白濁が落ちてシーツに染みを作る。先ほどまで陰茎が収まっていたから、中は解けてしっとりと指に絡みついてくる。

「な、んで……」

 訳がわからないのか、布ではなくコールの手を掴んで止めようとしている。

「かき出さないといけない」

 何を言われているのか理解するのに時間がかかったのか、静かになったと思ったら慌てて距離を取られた。中に入っていた指が感じる部分をひっけながら抜ける。

 喘ぎ声を上げたクライスの体が堪えるように丸くなる。

「そ、そっちも……自分で、しま……す」

 涙目で言われて、もっと泣かせたくなってしまう。

「ではやり方を教えよう」

 手を取って、クライスの隘路に二人の指を潜り込ませる。

「んっあ!」

 衝撃に目を見開いて、体を震わせている。

「もっと奥まで入れないとかき出せない」

 さらに力を入れて、指を奥へと誘導する。そして指を曲げて、円を描くように外に出す。

 ポタポタと白濁が溢れ出る感触に、クライスの腰が揺れてか細い声が上がる。もう一度中に指を戻そうとすると、嫌々するように首を振られる。

「指、入れな……いで……」

「入れなければかき出せない」

「自分で、します……から! コール様は、入れ……ないで、ください」

「オレの指はダメか」

「だ、ダメです!」

「では、手ではないもので手伝おう」

 再び何を言われているかわからないという顔をするクライスの足を抱え直す。何かを察して逃げようとする体を、優しく押さえつける。

 そしてゆっくりと陰茎を沈める。

「あぁ、あ、あぁああああ!」

 何度も隘路を開かされていたからか、一気に奥まで入り全てが飲み込まれる。あまりの気持ち良さに息を飲む。

「や、やぁ……はな……しが、ちがっ……!」

 息も絶え絶えで喘ぐクライスの言葉を聞きながら、ゆっくりと腰を回して陰茎を抜いてやる。

「ひぅん、うぅ……」

 ぬぷっという濡れた音と一緒に、クライスの卑猥な声を響かせて白濁が垂れていく。

「違くないだろう」

 言いながら、再び秘部に陰茎を当てる。

「ちが、違う……っ! あんぅ、あ……あぁ!」

 そして遠慮なく中に沈める。何回か同じことを繰り返すと、肉壁の収縮が激しくなっていく。

 一番奥まで入り込んで、腰を回そうとすると服を掴まれて動きを止められる。

「も、抜かな……で……」

 入り口が痛いくらいに陰茎を締め付けている。

「中を綺麗にしなくていいのか?」

 涙でぐちゃぐちゃになっても、クライスは綺麗だ。何を言わせたいと思っているのか理解したのだろう。

 悔しそうに瞳を細めて、震える唇を開いた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

冷酷無慈悲なラスボス王子はモブの従者を逃がさない

北川晶
BL
冷徹王子に殺されるモブ従者の子供時代に転生したので、死亡回避に奔走するけど、なんでか婚約者になって執着溺愛王子から逃げられない話。 ノワールは四歳のときに乙女ゲーム『花びらを恋の数だけ抱きしめて』の世界に転生したと気づいた。自分の役どころは冷酷無慈悲なラスボス王子ネロディアスの従者。従者になってしまうと十八歳でラスボス王子に殺される運命だ。 四歳である今はまだ従者ではない。 死亡回避のためネロディアスにみつからぬようにしていたが、なぜかうまくいかないし、その上婚約することにもなってしまった?? 十八歳で死にたくないので、婚約も従者もごめんです。だけど家の事情で断れない。 こうなったら婚約も従者契約も撤回するよう王子を説得しよう! そう思ったノワールはなんとか策を練るのだが、ネロディアスは撤回どころかもっと執着してきてーー!? クールで理論派、ラスボスからなんとか逃げたいモブ従者のノワールと、そんな従者を絶対逃がさない冷酷無慈悲?なラスボス王子ネロディアスの恋愛頭脳戦。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? 騎士×妖精

宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている

飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話 アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。 無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。 ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。 朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。 連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。 ※6/20追記。 少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。 今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。 1話目はちょっと暗めですが………。 宜しかったらお付き合い下さいませ。 多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。 ストックが切れるまで、毎日更新予定です。

冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる

尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる 🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟 ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。 ――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。 お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。 目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。 ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。 執着攻め×不憫受け 美形公爵×病弱王子 不憫展開からの溺愛ハピエン物語。 ◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。 四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。 なお、※表示のある回はR18描写を含みます。 🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。 🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 透夜×ロロァのお話です。 本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけを更新するかもです。 『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も 『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑) 大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑) 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

処理中です...