女性のウンコは蜜の味

ゆき

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人見知りの中山さん

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夜の古本屋は、昼間とは違った静けさに包まれている。店内には、微かな蛍光灯の音と、お客が本を探す足音だけが響く。

本来なら、今日の夜勤は川村智子さんと俺の2人のはずだった。だが、川村さんは体調不良で欠勤。もう1人の夜勤担当は東京旅行中。松本さんは大学の都合で出られない。

そんな絶体絶命のピンチを救ってくれたのは、朝勤務専属の中山祥子さんだった。

「2日間だけ、お願いしますね」

店長の言葉に、小さくうなずく中山さん。20歳、高校卒業後からここで働いている。肩につくかつかないかの黒髪ボブ、いつもマスクで顔を隠している。人見知りなのか、ほとんど話したことがない。

「……よろしくお願いします」

小さな声に、俺も「こちらこそ」とぎこちなく返す。なんとなく、心臓が落ち着かない。

基本的に夜勤は、2人で分担して本の買取り、値付け、補充を繰り返す。休憩中は1人が休むと、もう1人が店を回す。いつもと変わらないはずなのに、今日に限って時間が長く感じる。

(中山さんと2人きりか……)

気まずい沈黙の中、淡々と作業をこなす。午前中に買い取った本の値付けを終えた頃、時計は17時00分を指していた。

ちらりと中山さんを見ると、休憩に入ろうとしている。

「丸岡さん、休憩入ります!」

「はい、どうぞ」

中山さんは休憩室に入ると、すぐにトイレへ向かう音がした。俺はカウンターで作業を続けながら、ふと心の中で呟く。

(トイレかな……)

静かな店内は比較的楽で、俺も淡々と補充を終わらせようとした。
だが、10分後に急遽腹痛に見舞われた。

「……やばい、トイレ行きたい」

中山さんに少しの間、レジを任せるため休憩室へ向かう。扉の向こう側を覗くとまだ戻ってきていない。

「まだトイレかな……」

すると、裏口の扉が閉まる音がした。再び休憩室を覗くと、中山さんが脂汗を滲ませて戻ってきた。

「中山さん、すみません……少しトイレ行きたいんで、レジをお願いしてもいいですか?」

中山さんは少し驚いたように顔を上げ、小さく頷いた。

中山さんがレジに立ち、俺は急いでトイレへ向かう。トイレのドアを開けると、微かに湿った空気と蛍光灯の冷たい光が目に入る。用を足すため個室に入り、鍵をかける。

(中山さん、トイレ長かったな……)

そう思うと同時に、凄い排泄臭が鼻をついた。明らかにこのトイレを中山さんが使っていたのだろう。

そして、先ほどの彼女の様子を思い出す。顔には脂汗が滲んでいた。伏し目がちな目も、普段よりもさらに力が入っていた気がする。

(もしかして、中山さんも腹痛だったのか……?)

そう思うと、感じるものがある。人見知りであまり話さない中山さんの排泄姿を想像してしまう。

やっぱりどんな女の子も、大便は臭いんだなと強く実感してしまった。



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