Aセクシャルの人

セリー

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変な男の人たち

男子高出身

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大学生の頃、同じゼミの佐々木くんを好きになった。

と言っても、性の対象ではなく、あくまでも「顔がきれい」という理由からであった。

色が白く、女の子のように美しい顔立ち、細マッチョ。
佐々木くんのビジュアルは私の心をがっちり掴んで離さなかった。

ゼミの飲み会の時、佐々木くんの電話番号を教えてもらい、それから彼と時々電話するようになった。

佐々木くんは面と向かって話すと非常にシャイで、話す話題も見つからないようで大人しい印象だったが、電話では異常に饒舌。まずそれに面食らってしまった。
佐々木くんと電話をすると一時間は余裕に経ち、しかも自分の話が多かった。

佐々木くんは男子高出身で、恐らく童貞。彼女もいたことがないようだった。こんな美形がシングルか、と男子高の出会いのなさに同情してしまった。(そういう私も女子高出身で彼氏はいなかったが)

ある日、佐々木くんにデートに誘われた。
その当時流行りのプールバーだった。

ビリヤードはせずに飲んでお喋りしただけだったが、特にお互い緊張もせず話に花が咲いた。

佐々木くんは同じゼミの浜野さんが「最近すごくきれいになった」を興奮気味に連発し、仮にも私が目の前にいるのに配慮がないなと少々呆れた。それとも「君とは恋愛する気ない」と伏線を張っていたのか?

が、後々分かってきたのだが、佐々木くんは気が利かない人だった。だから私に平然と他の女の子がきれいだと言ってしまったのだ。

女性経験豊富でモテる男の人は、そのへんに頭が回る。
たとえ他の女の子をきれいだと思っていても、自分に気がある女の子の前では絶対話題にしない。女の嫉妬心というのをよく理解し、「あ、この人別の子に興味があるのね」と自分に冷めるであろう心情も察することができる。

仕方ない、彼はそのへんの場数が足りなかったのだ。

私は佐々木くんと会ったり喋ったりしているうちに、佐々木くんに私に対する恋愛感情はないと判断した。また、私も佐々木くんは見ているだけで良かったので、恋愛感情は最初から希薄だった。

ところが、佐々木くんから家に来ないかと誘われた。
恋愛感情ないわりに、よく誘ってくるな、しかも家かよ、と驚いた。

私は佐々木くんの狭いアパートに行った。
夕食を作り一緒に食べ、結局佐々木くんの家に泊まることになった。






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