ヴァインガー ~過去と未来を結ぶ絆~

カザハナ

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本編

6 大いなる勘違い

 ハインとクラウス、丁度二人が二人共に、間合いを取った、絶妙のタイミングで、終了の声が、横手から掛かる。


「もう、そんなに時間が経ったのか」


 クラウスがそう呟き、剣を下ろす。


「終わり……ですか?」


 ハインの問い掛けに、クラウスが頷き、答えてくれる。


「ああ。お前は合格だ」


 模擬剣を鞘に直し、クラウスはハインに向き直り、告げる。


「合格……。本当ですか?良かった……。宿代も掛からず、給金も良いので、定員割れをしたんじゃないかって、少し心配してたんです。手合わせ、有難う御座いました。次は、どこへ向かえば良いんですか?」


 無表情のハインの言葉に、その場にいた、全員が首を傾げる。

 定員割れ?どこ?……何を言ってるんだ?こいつは、と言った感じだろう。

 クラウスも、疑問に思いつつ、事実を告げる。


「定員割れの心配は要らない。お前以外の合格者は、誰一人、居なかったのだからな」


 その言葉に、ハインは不信感をいだく。


「いない?……でも、さっきの人達は……?」

「あれは全員不合格だ。見習いになんて、とてもじゃないが、出来る腕じゃない」


 クラウスとの会話の最中に、近付いて来ていた、気難しそうな顔の男であるゼクトが、クラウスの言葉を補足した。


「あんなのが見習いに入れば、近衛の名落ちだ」


 吐き捨てるように言われる言葉に、ハインは更なる疑問を胸に抱く。


(見習い?下働きの?にしても、何で近衛の名が関わるんだろう?ああ、でも、見習い期間が有るのなら、給金は下がるのだろうか?そこん所はちゃんと聞いて置かなくちゃ!!)

 一通り考えてから、ハインがクラウスへと向き直る。


「あの……。見習い期間の給金は、提示された金額よりも、下がるのでしょうか?」

「いや、そのままだが……?」


 クラウスの即答に、内心ホッとするが、無表情のまま、ハインは一番腑に落ちない点を聞いてみる事にした。


「ですが、補充要員なら、わたし一人じゃ少なくないですか?」


 あまりの話の噛み合わなさに、話を聴いていた男、イージーが、思わずハインに待ったを掛ける。


「ええっと、ハイン、だったよね?確認しても良いかなぁ?」


 イージーの言葉に、無表情のままハインは相槌を打つ。


「はぁ」

「君の知ってる情報を教えて欲しいんだけど、君は、立て札を見て、来たんだよね?」

「はい」


 それに付いては間違いようが無い。

 ハインはしっかり頷いた。


「何て内容だったかな?」


 イージーのその言葉に、ハインは広場でのやり取りを思い浮かべながら、それに確りと答える。


「第一王女が、視察の旅に出る為、その間、城の下働きの補充要員を、一般公募をする。月給で、金貨一枚。条件は住み込みで、多少なりとも護身術が使える者。先ずは、テストをして、使えそうな者から優先する……だった筈ですが」


 その場にいた全員が、漏れ無く凍り付いたのは、言うまでも無い事だった。
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