11 / 85
本編
9 二人の副隊長
「一方的な解雇なんて、よく有る事ですから」
そう言ったハインに嘘は無い。
ただ、それを言った後に、何故か、隊長で有るクラウスから、途轍もない怒気が溢れ出してきた事に、ハインはただただ戸惑った。
「ハイン、俺は、前言を撤回する気は毛頭無い。返事は?」
「返事?」
ハインは何故、クラウスが怒っているのか理解出来ずに、無表情のまま聞き返す。
「合格だと言った筈だ。俺は、お前に入って欲しい」
その言葉に少し考えるも、給金が下働きよりも三倍と、断然多いのだ。
受けない理由等、ハインには無い。
「はぁ。宜しくお願いします」
ぺこりと頭を下げるハインに、尚も念を押すクラウス。
「本当だな?」
「ええ。こんな好条件過ぎる仕事なんて、どこを探しても、滅多に有りませんよ。わたしで良いのなら、受けさせて下さい」
ハインがそう言えば、クラウスの怒気が収まり、フッと微笑まれる。
「よし。ああ、ハインの面倒は俺が見る。ゼクト、イージー、異論は無いな?」
「「勿論」だ」
クラウスは、二人の副隊長へと話を振ると直ぐに返事が返って来た。
クラウスの背後に控えていた二人が、クラウスを挟んで、両隣からハインの方へと歩み寄る。
「ゼクト=ファーンだ。副隊長をしている。と言っても、もう一人居るがな」
ゼクトと名乗った気難しそうな男は、この国では珍しい、金の髪をしていた。
異国の血が流れているのだろうか?と、そんな疑問が頭に浮かぶも、それで、副隊長にまで上り詰めるのだから、凄いなとしか思わない。
ハインにとって、自身も異端で有ると言う思いが有るので、大した違いは無いからだ。
そんな事をハインが思っていると、もう一人が声を出す。
「僕はイージー=レゼッタ。同じく、副隊長だよ。それにしても驚いたね。隊長と互角に戦えるなんて、将軍が知ったら飛んできそうだよ」
その言葉に、クラウスが明らかに眉を寄せる。
「言うな」
「あははっ!知ったら、私が育てる!!とか言って、連れてっちゃうかもだしねぇ」
笑うイージーに、クラウスが念を押す。
「絶対に言うなっ!!」
「言う訳無いだろう。これ程の逸材、取られて堪るか」
クラウスの言葉に、ゼクトは呆れたように言い返す。
「大丈夫だよ。僕だって、ハインを取られたくは無いからね。でもね?いつ、どこでバレるかなんて、誰にも分からないんだよ?だから、先手は必ず打っといてよね?隊長」
その言葉に、クラウスは苦々しい表情で、話に応じる。
ハインからすれば、将軍なんて、トップクラスに欲しがられる筈が無い。と思い込んではいるのだが。
「解ってる。報告序でに話して置くつもりだ。あの人以上の適任者は、いないからな」
「じゃあ、隊長が見れない時は、僕がハインの面倒見てるよ」
良い笑顔で言い出すが、それにはゼクトが反論する。
「抜け駆けするな。二人でだ」
牽制するゼクトに、拗ねるイージー。
「ちぇ~っ。ハインと手合わせしたかっただけなのにぃ~……」
その言葉に呆れつつも、ゼクトは自身が感じ取った事実を述べる。
「お前だけなら、尚更無理だろう。俺達二人で仕掛けたなら、勝算が有るかも知れんが、それですら、勝てるとは言えんぞ」
何せ、ハインの実力は未知数だ。
クラウスとハインは互角に戦っていたが、互角に戦えると言うだけで、時間制限が有る中での試合だった上、ハインは制限が有るとは知らなかったのだから、充分余力を残している状態だった。
クラウスの場合は、時間の制限が有る事を知ってはいるが、ハインとの試合中に、時間を気にする節は無かった。
クラウス自身、制限が有る事を忘れる程に、試合に集中していたのだろう。
クラウスは、隊長と呼ばれるだけあって、腕はこの国でもトップクラスの腕前だ。
そんなクラウスの剣を、ハインは臆する事無く受け、打ち合ったのだ。
そう言ったハインに嘘は無い。
ただ、それを言った後に、何故か、隊長で有るクラウスから、途轍もない怒気が溢れ出してきた事に、ハインはただただ戸惑った。
「ハイン、俺は、前言を撤回する気は毛頭無い。返事は?」
「返事?」
ハインは何故、クラウスが怒っているのか理解出来ずに、無表情のまま聞き返す。
「合格だと言った筈だ。俺は、お前に入って欲しい」
その言葉に少し考えるも、給金が下働きよりも三倍と、断然多いのだ。
受けない理由等、ハインには無い。
「はぁ。宜しくお願いします」
ぺこりと頭を下げるハインに、尚も念を押すクラウス。
「本当だな?」
「ええ。こんな好条件過ぎる仕事なんて、どこを探しても、滅多に有りませんよ。わたしで良いのなら、受けさせて下さい」
ハインがそう言えば、クラウスの怒気が収まり、フッと微笑まれる。
「よし。ああ、ハインの面倒は俺が見る。ゼクト、イージー、異論は無いな?」
「「勿論」だ」
クラウスは、二人の副隊長へと話を振ると直ぐに返事が返って来た。
クラウスの背後に控えていた二人が、クラウスを挟んで、両隣からハインの方へと歩み寄る。
「ゼクト=ファーンだ。副隊長をしている。と言っても、もう一人居るがな」
ゼクトと名乗った気難しそうな男は、この国では珍しい、金の髪をしていた。
異国の血が流れているのだろうか?と、そんな疑問が頭に浮かぶも、それで、副隊長にまで上り詰めるのだから、凄いなとしか思わない。
ハインにとって、自身も異端で有ると言う思いが有るので、大した違いは無いからだ。
そんな事をハインが思っていると、もう一人が声を出す。
「僕はイージー=レゼッタ。同じく、副隊長だよ。それにしても驚いたね。隊長と互角に戦えるなんて、将軍が知ったら飛んできそうだよ」
その言葉に、クラウスが明らかに眉を寄せる。
「言うな」
「あははっ!知ったら、私が育てる!!とか言って、連れてっちゃうかもだしねぇ」
笑うイージーに、クラウスが念を押す。
「絶対に言うなっ!!」
「言う訳無いだろう。これ程の逸材、取られて堪るか」
クラウスの言葉に、ゼクトは呆れたように言い返す。
「大丈夫だよ。僕だって、ハインを取られたくは無いからね。でもね?いつ、どこでバレるかなんて、誰にも分からないんだよ?だから、先手は必ず打っといてよね?隊長」
その言葉に、クラウスは苦々しい表情で、話に応じる。
ハインからすれば、将軍なんて、トップクラスに欲しがられる筈が無い。と思い込んではいるのだが。
「解ってる。報告序でに話して置くつもりだ。あの人以上の適任者は、いないからな」
「じゃあ、隊長が見れない時は、僕がハインの面倒見てるよ」
良い笑顔で言い出すが、それにはゼクトが反論する。
「抜け駆けするな。二人でだ」
牽制するゼクトに、拗ねるイージー。
「ちぇ~っ。ハインと手合わせしたかっただけなのにぃ~……」
その言葉に呆れつつも、ゼクトは自身が感じ取った事実を述べる。
「お前だけなら、尚更無理だろう。俺達二人で仕掛けたなら、勝算が有るかも知れんが、それですら、勝てるとは言えんぞ」
何せ、ハインの実力は未知数だ。
クラウスとハインは互角に戦っていたが、互角に戦えると言うだけで、時間制限が有る中での試合だった上、ハインは制限が有るとは知らなかったのだから、充分余力を残している状態だった。
クラウスの場合は、時間の制限が有る事を知ってはいるが、ハインとの試合中に、時間を気にする節は無かった。
クラウス自身、制限が有る事を忘れる程に、試合に集中していたのだろう。
クラウスは、隊長と呼ばれるだけあって、腕はこの国でもトップクラスの腕前だ。
そんなクラウスの剣を、ハインは臆する事無く受け、打ち合ったのだ。
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
蝋燭
悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。
それは、祝福の鐘だ。
今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。
カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。
彼女は勇者の恋人だった。
あの日、勇者が記憶を失うまでは……
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
メリザンドの幸福
下菊みこと
恋愛
ドアマット系ヒロインが避難先で甘やかされるだけ。
メリザンドはとある公爵家に嫁入りする。そのメリザンドのあまりの様子に、悪女だとの噂を聞いて警戒していた使用人たちは大慌てでパン粥を作って食べさせる。なんか聞いてたのと違うと思っていたら、当主でありメリザンドの旦那である公爵から事の次第を聞いてちゃんと保護しないとと庇護欲剥き出しになる使用人たち。
メリザンドは公爵家で幸せになれるのか?
小説家になろう様でも投稿しています。
蛇足かもしれませんが追加シナリオ投稿しました。よろしければお付き合いください。
さよなら、私の初恋の人
キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。
破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。
出会いは10歳。
世話係に任命されたのも10歳。
それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。
そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。
だけどいつまでも子供のままではいられない。
ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。
いつもながらの完全ご都合主義。
作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。
直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。
※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』
誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。
小説家になろうさんでも時差投稿します。