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本編
10 ハインの知る戦い
さすがに両副隊長が、二人で一人を相手に戦うなんて、出来る訳が無いだろうとゼクトは思っていると言うのに、当のハインは平然とした様子で淡々と言い放つ。
「別に、構いませんよ?寧ろ、わたしもやってみたいですね。腕の立つお二人を相手に、自分がどこまで出来るのか」
「いや……。さすがに卑怯だろ……」
ハインの表情が無表情過ぎて、本気かどうか判らないまま、ゼクトが思わず、ハインに突っ込んでみる。
「えっ?ですがわたしは、複数を相手に戦うのは、よく有る事ですよ?寧ろ、一対一の方が珍しいですから」
ハインの言葉に、誰もが絶句するのだが、続く言葉に、驚愕するしか無くなるのだ。
「大会等では、予想以上の人数が集まった場合、時間と人員削減の為に、混合戦と言う名の篩に掛けられるんです。混合戦になると、一試合に十人から二十人前後での勝ち抜き戦を繰り広げ、残った一人がトーナメント戦への出場資格が得られるんです。そんな試合だから、相手を蹴落とす事なんて当たり前で、よく有る事なんです。だからわたしも普通に戦えますよ」
それに、優勝賞金を手に入れた後だとて、その賞金を狙って、問答無用で集団で襲ってくる輩が多いのだ。
それこそ、家畜に群がる野獣のように。
「……よく有る事……って……」
「おまっ……なんつぅ……」
言葉を失う隊員達に、更なる追い討ちを掛けるかの如く、ハインは言葉を続ける。
「戦場に、邪道や正道、道理なんて物は存在しません。有るのは生死の境だけ。実戦なんて、そんな物ですよ」
表情を変える事無く、淡々と言い切るハインに、これまでの生活が、どれ程の物であるかを見せ付けられた気分になったのだろう。
クラウス達は、苦虫を噛み締めたような顔をしている。
(誠実……と言うよりも、ここの人達はお人好しなのかも知れないなぁ。なるべく、迷惑は掛けたくは無いんだけど……)
そうは思っても、ハインは職業が職業だ。
誰も賞金稼ぎになんて、なりたがらない上に、信用なんて皆無の職種だ。
金の為なら何だってする、命を金と見做して、裏切りさえ辞さない職業なのだから。
そんな事をハインが考えていると、クラウスが気不味い雰囲気を振り払う為か、唐突に話を変える。
「……取り敢えず、飯の前に、ハインに部屋を与えてくる序でに、仕事内容を大まかに説明してくる。ゼクト、イージー、暫くこの場は頼んだぞ」
「了解」
「任せて」
「行くぞ、ハイン。荷物を持って、付いて来い」
「はい。あっ、その、少しだけ待って下さい」
クラウスが、ハインへと声を掛けるので、ハインは模擬剣と自分の剣を取り替えて、隊員達の方へと向き直る。
「改めまして、ここで働く事になった、ハインです。分からない事だらけで、ご迷惑をお掛けしますが、何卒ご容赦下さい」
ペコリと頭を下げてから荷物を持ち、クラウスに模擬剣を渡したのだった。
「別に、構いませんよ?寧ろ、わたしもやってみたいですね。腕の立つお二人を相手に、自分がどこまで出来るのか」
「いや……。さすがに卑怯だろ……」
ハインの表情が無表情過ぎて、本気かどうか判らないまま、ゼクトが思わず、ハインに突っ込んでみる。
「えっ?ですがわたしは、複数を相手に戦うのは、よく有る事ですよ?寧ろ、一対一の方が珍しいですから」
ハインの言葉に、誰もが絶句するのだが、続く言葉に、驚愕するしか無くなるのだ。
「大会等では、予想以上の人数が集まった場合、時間と人員削減の為に、混合戦と言う名の篩に掛けられるんです。混合戦になると、一試合に十人から二十人前後での勝ち抜き戦を繰り広げ、残った一人がトーナメント戦への出場資格が得られるんです。そんな試合だから、相手を蹴落とす事なんて当たり前で、よく有る事なんです。だからわたしも普通に戦えますよ」
それに、優勝賞金を手に入れた後だとて、その賞金を狙って、問答無用で集団で襲ってくる輩が多いのだ。
それこそ、家畜に群がる野獣のように。
「……よく有る事……って……」
「おまっ……なんつぅ……」
言葉を失う隊員達に、更なる追い討ちを掛けるかの如く、ハインは言葉を続ける。
「戦場に、邪道や正道、道理なんて物は存在しません。有るのは生死の境だけ。実戦なんて、そんな物ですよ」
表情を変える事無く、淡々と言い切るハインに、これまでの生活が、どれ程の物であるかを見せ付けられた気分になったのだろう。
クラウス達は、苦虫を噛み締めたような顔をしている。
(誠実……と言うよりも、ここの人達はお人好しなのかも知れないなぁ。なるべく、迷惑は掛けたくは無いんだけど……)
そうは思っても、ハインは職業が職業だ。
誰も賞金稼ぎになんて、なりたがらない上に、信用なんて皆無の職種だ。
金の為なら何だってする、命を金と見做して、裏切りさえ辞さない職業なのだから。
そんな事をハインが考えていると、クラウスが気不味い雰囲気を振り払う為か、唐突に話を変える。
「……取り敢えず、飯の前に、ハインに部屋を与えてくる序でに、仕事内容を大まかに説明してくる。ゼクト、イージー、暫くこの場は頼んだぞ」
「了解」
「任せて」
「行くぞ、ハイン。荷物を持って、付いて来い」
「はい。あっ、その、少しだけ待って下さい」
クラウスが、ハインへと声を掛けるので、ハインは模擬剣と自分の剣を取り替えて、隊員達の方へと向き直る。
「改めまして、ここで働く事になった、ハインです。分からない事だらけで、ご迷惑をお掛けしますが、何卒ご容赦下さい」
ペコリと頭を下げてから荷物を持ち、クラウスに模擬剣を渡したのだった。
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