ヴァインガー ~過去と未来を結ぶ絆~

カザハナ

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本編

14 不思議な人達

 嫌味では無く、ただただ疑問に思った事だけの言葉だった。

 これまで接して来た人達の中で、これ程優しかったのは、自分の故郷の人達を除けば、他に居ない。

 金を支払う立場なら、ただ、命じれば良いだけなのだから。

 優しくする必要なんて、全く無い。

 賞金稼ぎなんて者に関われば、自身の立場すらも危うくなるのだから。

(それなのに、さっきの時だってそうだ。この人は、わたしが賞金稼ぎだと知り、激怒した。なのに、わたしに入って欲しいと言ってきて、それを了承すれば、笑みすら見せた。しかも、わたしが賞金稼ぎだと知った上で、だ。副隊長達や、他の隊員達もそうだった。賞金稼ぎだと言ったのに、わたしに対する敵意が、殆どと言って良い程に無い。本来ならば、有り得ない事だと言うのに……)

 ハインは、故郷を離れてからこれまでの事を、頭の中で振り返ってみる。

 賞金稼ぎになったのは、これが一番儲かるからだ。

 大金を稼いでないと、大切な家族が守れない。

 共に暮らせる為に、誰一人死なせない為に、その為なら、危険だろうと何だろうと、何だってするつもりなのだ。

 だから、どんな対応を取られようが、何を言われようが、家族に手を出されない限り、ハインにとってはどうでもいい。

 過去に、ハインの家族に手を出そうとした馬鹿もいたのだが、それはハインや、ハインの家族達に酷い目に合わされている。

 ハインの家族はハインが守る者達では有るが、一般人同様弱い訳では無い。

 ハインが居ない時は、各自、自分の身を守っているのだから。

 とは言え、お金が無くても生きて行けるなんて、ハインは言えない。

 何故なら、一人、高価な薬を必要とする者が居るからだ。

 だからこそ、賞金稼ぎになる事に、何の迷いも無かったのだ。

 お金の為なら人をも殺す、と言うのは事実だ。

 実際ハインも、お金の為に、人を殺した事も有る。

 依頼をされた訳では無い。

 ハインが勝ち取った賞金を狙い、ハインを殺す気で向かって来たのだ。殺される気も、お金を渡す気も無いハインは、確実に殺しただけだ。

 だからと言って、仕方無かったのだと弁明する気は全く無い。

 場合によっては、無抵抗な相手だろうと、相手を殺す覚悟は有るのだ。

 そう。彼女のように。

 そんなハインに優しさを見せた所で、どれ程親しい者であろうと、ハインの大切な家族や一族に仇なす者は、ハインは絶対に許さない。

(だからこそ、巻き込まない為にも優しい人は、わたしに近寄らなければ良い。どうせ、長居は出来ないだろうし、知られれば、迷惑を掛けるだけになってしまうのだから)

 ハインはまだ、知らなかった。

 今後、ハインのその正体を知っても、ハインを手放そうとしない者達が、近くに居ると言う事を。

 長居出来ない所か、辞められない状況に陥る羽目になろうとは、その時のハインは全く予想出来なかったのだ。
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