ヴァインガー ~過去と未来を結ぶ絆~

カザハナ

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本編

18 取り決め

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(全く……。わたしとなんか、関わらない方が、絶対に得なのに……)

 面倒事も無く、楽で済むし、何より、いざと言う時は、何の躊躇も無く、突き放せるし、責任転嫁もし易いのだろうから、関わらない方が、利点も多い筈なのにと、自分の事ながら、淡々と自分を切り捨て要員に入れてしまえるハインは、無表情のまま、切り出した。


「……分かりました。その代わり、最悪の事態になった時は、わたしの所為にして、切り捨てて下さい」


 その言葉に、明らかに不満だと言う不機嫌な顔を晒すクラウス。


「……嫌だと言ったら?」


(本当に、解っているのか?この人は……)


「隊長は……上に立つ人なんです。わたしが辞めるのと、隊長が責任被って辞めるのとでは、犠牲の度合いが違います。上に立つ者は時として、そういった判断が必要なんです。だから、その時は、躊躇わずに解雇して下さい」


(わたしは良い。どうせ、長居は出来ないのだから。だけど、貴方は違う。隊長にまでなった人なんだから)

 これ以上、妥協はしない。

 ハインの瞳がそう語る。


「……分かった。絶対とは言い切れないが、最悪の事態にならないように、努力はする。その代わり、ハインは勝手に辞めたりしない事。何かを諦める前に、必ず相談する事。言いたくない事は言わなくても良いが、言える事が有るのなら、ちゃんと俺に言う事良いな?」

「はぁ。……約束は出来ませんが、努力はします」

「よし!良い子だ」


 大きな手で、ハインの頭を掻き混ぜる。まるで、幼い子供にするかのように。


「荷物はそこにでも置いておけ。コートはあそこに掛ければ良い」


 ハインは荷物だけを置き、クラウスに向き直る。


「これは……着たままで良いです。邪魔になる訳でも無いので」


 ハインがそう答えると、クラウスは何の疑いも見せずに向きを変える。


「そうか?じゃあ、行くぞ」

「……隊長って、変な人だなぁ……」


 クラウスが歩き出した為、ハインはクラウスの背後を見詰め、小さく呟きながら、その顔には、思わず笑みが零れている。

 だが、それにクラウスは気付かない。


「?何か言ったか?」


 クラウスがハインを振り返るものの、その顔からは、もう笑みは消え、いつもの無表情になっていた。


「いいえ。今、行きます」


 ハインはそのまま何食わぬ顔でクラウスの後を追い、歩き出すと、正午の鐘が鳴り響く。


「もうそんな時間か……。ハイン、飯にするぞ」


 そう言ってクラウスは、部屋に鍵を掛けて、食堂へと足を向けた。
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