ヴァインガー ~過去と未来を結ぶ絆~

カザハナ

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本編

21 ハインの常識

 クラウスに好き嫌いが有るかと問われ、ハインは無いのと答えたが、実際心の中で、こんな事を思っていた。

(……って言うか、有る無い以前に、そんな勿体無い事、出来ないですよ。そんな、好き嫌いなんて言ってられるのは、食べる物に困った事が無い人達で、本当に食べる物が無い状態なら、受け付けないと言う体質以外で、嫌いだなんて言ってられなくなるんだから。……でも、ここはわたしの知る、常識が通用しない場所だからなぁ。食べ物を粗末にされるのは腹が立つけど、ここでは当然なのかも知れないし、仕方無いと思わなきゃ。……せめて、残り物は、他の生き物の糧になるようにと、祈るばかりだ)

 そんな事を思っているのに、クラウスがとんでもない事を言い出した。


「一応色んな料理が用意されているから、各自で好きな物を食えば良いようになっているが、訓練に支障をきたさない程度にな。入り立ての奴が、たまにやるんだ。食い過ぎて気分が悪くなったり、吐いたりな」


 クラウスは溜め息を吐き、ハインも思わず暴言を吐いてしまった。


「……馬鹿ですか?」


 でもこれがハインの本心だ。

(ってか、有り得ない!動きが鈍る程食べるなんて、隙を見せまくると言う事じゃないか!そんなの、どうぞ襲って下さいって言ってるような物だし、連れが居るなら、迷惑以外の何物でも無い!!家族での団欒だとか、休みに入る前の時間だとかなら未だしも、そんな足手纏い、わたしは絶対に要らないからっ!!)

 ハインが心の中で、きっぱりと切り捨てると、クラウスも頷きハインの暴言を肯定してくれる。


「やっぱりハインも、そう思う方か。俺もそんな奴は居ないだろうと思っていたんだが、入って直ぐの若い奴等とかは、何人かがやるんだ。勿論、吐いた奴にはそのまま自分で後始末をさせるが、訓練にはならなくなるから、一応、入ったばかりの新人には注意する事になっている。まぁ、ハインの場合は、暫く、俺と同じ腕前だと言う事を隠したいから、一般の訓練に参加させる訳にはいかないから、多少多く食っても問題は無いぞ?」

「はぁ、そうですか……」


(後始末に付いては、自業自得だから当然だろうけど、それに付き合う指導者、ご苦労様です……。って、暫く訓練に参加出来ないのか。身体が鈍りそうだなぁ。でもまぁ、一般のって事は、人目に付かない場所とかでするって事かなぁ?そもそも、身体を鈍らせたりしたら意味無いしね。一応、食べれる時に食べて置く、と言うのがわたしのような職業の鉄則でも有るけれど、そんな事したら、給金の減額が多くなりそうで、ちょっと嫌だなぁ……。とは言え、今日はまだ朝食も取ってなかったし、いつも食べる量ぐらいで止めて置こう。うん、それが良い)

 ハインは一人納得し、クラウスの後から料理を取りに行く。
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