ヴァインガー ~過去と未来を結ぶ絆~

カザハナ

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本編

32 顔合わせに付いての質問

 イージーはハインをチラッと見て、溜め息を吐きながら、話題を変える事にした。


「そう言えば、王子との顔合わせは済ませたの?」

「……顔合わせ?いや、まだだ。それに付いては後回しだな」


 クラウスの言葉に、更に疑問をぶつけるイージー。


「何で?」


 普通なら、直ぐにでも連れて行くべきなのにと、思ったからだ。


「今日連れて行っても、適当にあしらわれるだけだ」


 その言葉に、ゼクトが確認の為に問う。


「そんなに機嫌が悪いのか?」

「ああ。話はして置くが、当分は無理だろうな」

「……あの……」


 珍しく、話を振られた訳でも無いのに、ハインが自ら会話に入り込む。


「何だ?どうした?」

「いえ、あの……本当にするんですか?その、王子様との顔合わせを……」


 殆ど無表情のハインが、眉を寄せている事に、少なからず驚く三人。


「何だ、嫌なのか?」

「いえ、そうでは無く……」


(……態々わざわざ下っ端の、見習い相手に時間をく事自体、信じられないんだけど。顔合わせと言うからには、遠目でだとか、通りすがりに上から見る程度じゃないんだろうし……。幾らだだっ広くて、護衛が沢山付けられるからって、監視付きの人間と顔合わせしようだなんて、普通は考えないよ……。王子様だって、する事沢山有るだろうに……)


「……客でも無いのに、態々時間を割いてまでするんですか?それこそ、通りすがりに遠目で見る程度でも、済む問題だと思うんですが……」

「「「……」」」

 ハインの言葉に唖然とする三人。


「……いつも、そういう対応だったのか?」


 ゼクトの問いに、頷くハイン。


「はぁ、大体は。目立つ事さえしなければ、入った事すら気付かれない事も有りますし」


(目立った所で、誰だ?お前は。みたいな事を言われる時すら有るし)


「危ないだろ、それはそれで……」


 ゼクトが呆れたように返す為、ハインも再度、頷く。


「はぁ、そうですね。実際、強盗の手引き役が居たり、政敵のスパイが居たりしますから」

「ちょっと待ってよ?!それって黙認済みな訳ぇ?!」


 頭を抱えて叫ぶイージーに、追い打ちを掛けるハイン。


「雇い主の金払いの良さと、居心地の良さも考慮されますが、気に入らなかったら、掌を返しますよ。賞金稼ぎや雇われ者達は、稼ぎの良い方へと行きたがりますから」

「……そんな事まで、喋って良いのか?」


 幾ら暗黙の了解とは言え、他人に、それも雇う側の人間に、教えて良い物なのか?と、ゼクトがハインを窺う。

 その視線に、嫌悪感は含まれてない。

(どうしてかなぁ。どうしてだろう?何を言っても動じない、優しくて強いこの人達は、わたしの為に、怒ったり譲ったり、褒めたりする。わたしは、この人達に、何を返せるだろう……)
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