ヴァインガー ~過去と未来を結ぶ絆~

カザハナ

文字の大きさ
45 / 85
本編

43 剣の訓練

 ハインが訓練をじっくりと見ている。

 正規の訓練と言うのは、見た事が無いからだ。

 そんなハインに、戦い方を教えた師とは、どのような人物なのだろうと、興味を抱いたのだろう、クラウスがハインに問い掛けて来た。


「ハインは今までどんな人に、剣を教えて貰っていたんだ?」


 その言葉にハインは押し黙る。

 何故ならハインが普段持ってる腰に下げてる剣は、誰かに習ったと言うよりも、本来の得物と戦い方を見せない為に、購入した得物に過ぎないからだ。

 その理由として、本来の得物は命を狩る為の物、加減をせずに仕留める為の物だからだ。

 なので、本来の得物になら居る師も、剣に関して言えば、居ない。

 まぁ、得物も刃物では有るので、それを元に使用し出したと言っても良い。とは言え、長さも重さも違うので、ハインの本来の得物と比べれば、かなり動きが制限されてる状態なのだ。

 ハインの様子を見ていたクラウスは、聞いてはいけない事だったのかと思い、慌てる。


「いや、言いたくなければ無理に言わなくてもいい。ただ単に知りたくなっただけだ。気にするな」


 クラウスは話題を変えようと頭を悩ますが、話題が思い付かない。

 そんな中、ハインがどう説明すれば良いのか、悩みながらも口を開く。


「剣は……誰かに教えて貰った訳では有りません。そのっ……刃物自体が身近に有ったと言うか……」


 その言葉にギョッとしたのだろう。クラウスが吃驚しているようだ。


「待て……。ちょっと待って!刃物自体身近に有ったって、一体、どういう……」

「はぁ、その、食べ物を捌いたり、木を伐ったり?生きる知恵として、自然と身に付いたと言うか、覚えたと言うか?取り敢えず、一通りは出来ると思いますよ?」


 揶揄ってる訳でも無く、淡々と喋るハインのその言葉に、ホッとしたと同時にクラウスは脱力する。

(?わたし、何かおかしな事を言ったかなぁ?いや、でも、本当の事だし……。そもそも一般市民でも料理はするし、寒い地方なら薪割りだってするのに……。やっぱりここの人達には、そんな生活に縁は無いんだろうか?でも、それって、戦場や戦線でバラされたり、はぐれたりしたら大変な事になるんじゃないかなぁ?)

 ハイン的に心配もするが、ここはハインにとっての異空間。

 ふと、頭を過った事をクラウスに聞いてみる。


「……訓練って、城の中でしかしないんですか?」


 ハインの、静かで冴えた声音にクラウスが答える。


「いや、年に二~三度なら、野外演習もするぞ」


 すると、妙な間が空く。


「……そうですか」

「……何だ?その間は」

「いえ、何でも有りません」


 ハインは無表情で淡々と返す。

(考えたくない。現実と演習との差が、どれ程有るのかなんて……。何せ、ここは、わたしにとって異空間。わたしこっちの常識が通用しない場所だから……)
感想 37

あなたにおすすめの小説

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

蝋燭

悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。 それは、祝福の鐘だ。 今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。 カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。 彼女は勇者の恋人だった。 あの日、勇者が記憶を失うまでは……

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

メリザンドの幸福

下菊みこと
恋愛
ドアマット系ヒロインが避難先で甘やかされるだけ。 メリザンドはとある公爵家に嫁入りする。そのメリザンドのあまりの様子に、悪女だとの噂を聞いて警戒していた使用人たちは大慌てでパン粥を作って食べさせる。なんか聞いてたのと違うと思っていたら、当主でありメリザンドの旦那である公爵から事の次第を聞いてちゃんと保護しないとと庇護欲剥き出しになる使用人たち。 メリザンドは公爵家で幸せになれるのか? 小説家になろう様でも投稿しています。 蛇足かもしれませんが追加シナリオ投稿しました。よろしければお付き合いください。

ねえ、テレジア。君も愛人を囲って構わない。

夏目
恋愛
愛している王子が愛人を連れてきた。私も愛人をつくっていいと言われた。私は、あなたが好きなのに。 (小説家になろう様にも投稿しています)

さよなら、私の初恋の人

キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。 破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。 出会いは10歳。 世話係に任命されたのも10歳。 それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。 そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。 だけどいつまでも子供のままではいられない。 ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。 いつもながらの完全ご都合主義。 作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。 直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。 ※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』 誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。 小説家になろうさんでも時差投稿します。