ヴァインガー ~過去と未来を結ぶ絆~

カザハナ

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本編

64 自己紹介

「申し遅れました。わたしはハイン。先日、クラウス=ジェイド隊長の下で、見習いとして雇われた者です。……そして、生業は賞金稼ぎをしていました」

「賞金……稼ぎ?お前が?」


 驚く王子に尚も言い募る。


「ですから、今後このような事は、しない方が良いですよ?王子の評判にも関わりますし、最悪、変な勘繰りをされてしまいますから」


(と言っても、今後……は無いか。わたしはきっと、辞めさせられるだろうから)

 誤解は解けたとは言え、得体の知れない者を、王族の傍に配置する事は無いだろうと思っているハインは、早々に諦めていた。


「……悪いが、その程度で落ちる評判なら、私は一笑にす。それに、賞金稼ぎだろうと何だろうと、使えない奴よりは良い」


(使えない奴……。ああ、あのガースとか言う隊長か。確かにあれは役に立たないなぁ)


「それよりも、お前に言う事が有る」

「はぁ。どうぞ」


 ハインは背筋を伸ばし、聞く姿勢を整える。


「私はウィンザックス=テラード=ステラ。ここ、ステラ国の第一王子だ。先程は誤解をして済まなかった。手を上げた事を後悔している。本当に済まなかった。それと、妹を助けてくれた事、深く感謝する」


 改めて、王子のウィンザックスが名を名乗り、再度ハインに謝り頭を下げる。

(……え、まさか、王子まで名乗るの?名乗っちゃったよ?そもそも、わたしが思ってた言葉と違うんだけど?それに、済まなかった?感謝する?有難うって平民に、態々王子が直接言う言葉?隊長と言い副隊長と言い、ここの人達は本当に予想外の事ばかりするんだけど……)


「えっと、あっ、頭を上げて下さい。本当に、貴方が謝る必要は無いんですから」

「勝手に誤解したのは私だ。お前の話を聞かずに手を上げた、私の方が悪い」


 頭を下げられたまま言うウィンザックスに、ハインは内心困ってしまう。


「あの状況なら、誤解するのは当然だと思いますよ?前の雇い主の方々なんて、触れてもいない状況だろうと誤解した上で、剣を振り回したりしてましたから」


(さすがに刃物の場合は、わたし自身殺される気は無いから避けたけど、誤解が解けてもお前が悪いの一点張りだったしなぁ)

 そして大概、妻や娘がハインの味方に付き、中には好意を寄せたりする為、解雇となる場合が多いのだ。


「……ウチの子達にするような接し方……と言っていたな?」

「はぁ。……姫君がウチの子達の中にいる一人に似ていたので」


 ハインは七つ違いの妹、ベルベッシュを思い浮かべながら喋る。


「まぁ、見た目とかでは無く、雰囲気が……ですが、とても似ている気がします。と言っても姫君とは違い、かなり活発ですが」

「似ていたから、ああいう接し方になったのか……」


(あれはこいつにとって、子供に対する接し方だったから、ルナは全く抵抗しなかったと言う訳か……)

 ルナルティーザは他人の心に敏感だ。

 悪意有る者や、邪な思いを抱く者に対しては、決して心を許さない。

 それこそ長年隊長を勤めていた、あのラズ=ガースに対しても、心を開かなかったように。
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