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本編
69 ハインの言う“ウチの子”の意味
髪を整えて貰ったルナルティーザは、ハイン達の傍に来て、拗ねたような声音で喋り出した。
「クラウスお兄様、ズルいです。わたくしもハインとお話をしたいです」
こっそりと話していたのだが、ルナルティーザからは楽しそうに見えたようだ。
実際ハインからすれば、クラウスの正体は衝撃の事実で、楽しくは無かったのだが。
「ハインに何か聞きたい事でも有るのか?」
クラウスの問いに、ルナルティーザが頷く。
「ええ。わたくし、わたくしに似た感じの子のお話を聞いてみたいのです。それと、外のお話も」
「ああ、ウチの子の事ですか。名前はベル。年は七つ下なので、十一才になります」
「……ちょっと待て。七つ下?十一才?」
「はぁ。七つ下の十一才ですが」
「……ウチの子と言う意味は何だ?」
「?ウチに居る未成年者の子供ですが、それが何か?」
ここで漸くクラウスは齟齬に気付く。
「ハインの言う、“ウチの子達”の続柄は何だ?」
「弟妹、ですが?」
「……ハインは独身なのか?」
「はぁ。独り身ですね」
「そうか……」
クラウスが大きな溜め息を吐くのだが、ハインには何が何やら分からない。
「???」
「ハインの子供では無かったのね。わたくしも、てっきり貴方に子供が居るのだと思ってしまいました。それと、ハインはわたくし達と同い年だったのですね」
ルナルティーザの言葉に、ハインがやっとその意味に気付く。
「あー……済みません。故郷では、自分の家に居る未成年者は皆、ウチの子と言う表現をしてたので、気付きませんでした。ですが隊長、さすがに双子が居るとは言え、この年で五人は無理かと」
「……済まん」
(ああ、でもそれで納得出来る。隊長はわたしの性別を誤解してるみたいだから、母親は違うのかと聞いてきたんだ。まぁ、わたしの部族は性に奔放な男女が多いから、わたしの年でも男だったら、未婚であちこちに子供が五~六人居る事も有るからなぁ)
因みにヴァンガルー族は、未婚のままで子供が産まれた場合、子供は母親の実家の方に親権が有り、父親の方には親権が無い。
その為、男の実家に後継ぎが欲しいなら、子供が産まれる前に結婚しなければならない。
そして、子供が産まれた後に結婚した所で、子供の親権は母親の実家に有るので、父親で有る男の実家が取り上げる事も出来ないのだ。
だからこそ、ヴァンガルー族は女性をとても大切にするし、手酷く扱う男は稀だ。
そんなハインに対して敵意や嫌悪、悪意と言った物を向けていた男達は、ハインが故郷を離れた後、ハインに好意的だった女達からの評価に最低ランクが付けられた事を、その男達は知らない。
「クラウスお兄様、ズルいです。わたくしもハインとお話をしたいです」
こっそりと話していたのだが、ルナルティーザからは楽しそうに見えたようだ。
実際ハインからすれば、クラウスの正体は衝撃の事実で、楽しくは無かったのだが。
「ハインに何か聞きたい事でも有るのか?」
クラウスの問いに、ルナルティーザが頷く。
「ええ。わたくし、わたくしに似た感じの子のお話を聞いてみたいのです。それと、外のお話も」
「ああ、ウチの子の事ですか。名前はベル。年は七つ下なので、十一才になります」
「……ちょっと待て。七つ下?十一才?」
「はぁ。七つ下の十一才ですが」
「……ウチの子と言う意味は何だ?」
「?ウチに居る未成年者の子供ですが、それが何か?」
ここで漸くクラウスは齟齬に気付く。
「ハインの言う、“ウチの子達”の続柄は何だ?」
「弟妹、ですが?」
「……ハインは独身なのか?」
「はぁ。独り身ですね」
「そうか……」
クラウスが大きな溜め息を吐くのだが、ハインには何が何やら分からない。
「???」
「ハインの子供では無かったのね。わたくしも、てっきり貴方に子供が居るのだと思ってしまいました。それと、ハインはわたくし達と同い年だったのですね」
ルナルティーザの言葉に、ハインがやっとその意味に気付く。
「あー……済みません。故郷では、自分の家に居る未成年者は皆、ウチの子と言う表現をしてたので、気付きませんでした。ですが隊長、さすがに双子が居るとは言え、この年で五人は無理かと」
「……済まん」
(ああ、でもそれで納得出来る。隊長はわたしの性別を誤解してるみたいだから、母親は違うのかと聞いてきたんだ。まぁ、わたしの部族は性に奔放な男女が多いから、わたしの年でも男だったら、未婚であちこちに子供が五~六人居る事も有るからなぁ)
因みにヴァンガルー族は、未婚のままで子供が産まれた場合、子供は母親の実家の方に親権が有り、父親の方には親権が無い。
その為、男の実家に後継ぎが欲しいなら、子供が産まれる前に結婚しなければならない。
そして、子供が産まれた後に結婚した所で、子供の親権は母親の実家に有るので、父親で有る男の実家が取り上げる事も出来ないのだ。
だからこそ、ヴァンガルー族は女性をとても大切にするし、手酷く扱う男は稀だ。
そんなハインに対して敵意や嫌悪、悪意と言った物を向けていた男達は、ハインが故郷を離れた後、ハインに好意的だった女達からの評価に最低ランクが付けられた事を、その男達は知らない。
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