ヴァインガー ~過去と未来を結ぶ絆~

カザハナ

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本編

72 噂をすれば

 治療を終えたイージーが、ハイン達の居る部屋へ来たのは丁度その話の時で、思わず話に割り込む。


「はいっ、はぁい!僕も!!僕も触りたい~!」


 そして、珍しくゼクトも頷き話に入ってきた。


「喩え触る事が出来なくても、間近で見てみたいとは思うぞ」

「はぁ……」


(……何だか大事になってきたなぁ。好意的な人に対してなら、リムは大丈夫だとは思うけど、大きいから注目を浴びそう……)

 注目を浴びるぐらいなら良いが、貴族の中には金を積むから売れと言い出す輩も多い。

 それの対策ぐらいはお願いして置いても良いだろう。


「間近で見るのも触るのも、大丈夫だとは思いますが、わたしやリムに敵意や悪意を向けると襲おうとする事も有りますから、そういった方々とは極力距離を取らせて頂きたいのと、リムは売り物では無くわたしの家族の一員なので、どれ程のお金を積まれようと売る事は出来ません。そこの所を了承して頂きたいのですが」

「だから、俺達はお前からその鳥を奪う気は無いぞ」


 再度釘をさすかのように言うハインに心外だとばかりにウィンザックスが不機嫌な声で言い、クラウス達もその通りだと各々頷く。


「はぁ……その、わたしが警戒してるのは、珍しい物なら何でも手に入れたがる貴族の事です。ここに来るまで、何度かそういう貴族と出会でくわしましたので。そちらの対応もして頂きたいなと」

「ああ、そういう事か。それなら任せろ。悪いようにはしない」

「はぁ」


 ハインの言葉を聞いたウィンザックスからは、怒気が溢れ出している。

(……ここの人達の、怒りのツボが分からない)

 ウィンザックスからすれば、金や権力に物を言わせて無理矢理取り上げようとする輩はゲスでしか無い。

 ハインの場合は実力でやり込められるだろうが、殆どの者の場合、そうはいかないからだ。

 権力は使い所を弁えないと、ただの暴力でしか無い。

 ウィンザックスがそんな事を思ってると、外から聴き慣れない笛のような音がした。


「あ……すみません。噂をすれば、だと思います。そこの窓を開けても良いですか?この部屋に入れても良いのなら、そのまま入れますが……」

「入れて良い。呼べ」


 ウィンザックスの返答に、無表情では有るものの、リムを呼ぶ為に懐から笛を取り出すハイン。

 笛と言っても音はしない。

 と言うか、人には聴こえない音域の音なのだ。

 指笛でも呼べるのだが、ここは室内。

 窓を大きく開けて顔を出し、笛を鳴らしてリムを確認。

 リムが窓から入れるように後退し、笛を鳴らしながら腕を胸から少し離して留まり易いようにすれば、勢いの良い猛スピードで、大型の猛禽類が窓から飛び込み、ハインの腕へと舞い降りて来たのだった。
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