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本編
80 顔合わせ
上司の指示で部屋に来た女性は、居並ぶ面子を見て、粗相をしてしまったのかと勘違いしたのだろう。顔色が真っ青だ。
そうなってしまうのも無理は無い。
その場に居るのは、王子のウィンザックスと王女のルナルティーザ、将軍の息子にして近衛隊長のクラウス、そして両副隊長のゼクトとイージーだ。
ハインも居るには居るが、大物が揃い過ぎて、気付いてすらいないだろう。
本当はクラウスが隊員を一名連れて、交渉しようと思っていたのだが、ウィンザックスが妹の侍女にするなら先に顔を合わせて置きたいと言い出し、ルナルティーザがどんな方か見たいと言い、最低限の警護は必要だと両副隊長が名乗りを挙げた。
当然ハインを一人にする訳にはいかないし、ハインも、この面子の中に貴族とは言え、女性を一人放り込むのはさすがに可哀想だと思った為、同行した。
(さすがに、この面子をわたしが止める事は出来ないし、申し訳ないけど諦めて貰うしか無いよね?叱責とかじゃ無いから、大丈夫だよ、きっと……)
そうは思うもこの面子を相手に、親しい者なら兎も角、緊張しない一般人や貴族は稀だろう。
(まぁ、あの子なら、そんな素振り、微塵も見せなさそうだけど)
ハインの脳裏に、直ぐ下の弟で有るユリウスの顔が浮かぶ。
超絶的な美貌を持っていたであろう、今もその面影が残る祖父の、若い頃にそっくりだと言われる弟は、その美貌の所為か、持病で激しい運動が出来ず、その分年齢に似合わぬ頭脳と落ち着きを持つ所為か、童顔のハインよりも上に見られがちだ。
家族以外の他人に興味は無いが、その家族に余計な手出しをしよう物なら、自身を犠牲にしてでも相手をやり込めるその遣り方は、かなりエグい。
まぁ、そんな弟でも、ハインにとっては可愛い弟でしか無いが。
(でも、彼女が貴族じゃないかと言い出したのはわたしだし、わたしが事情説明した方が良さそうかなぁ)
「急に呼び出して済まない。俺は近衛騎士隊長のクラウス=ジェイドだ」
「ももっ、申し訳御座いません!わたくし、何かお気に障る事を致しましたでしょうか?」
「いや、そうじゃない。実はーー」
あまりに怯えた様子の女性に、困惑しながらも説明しようとするクラウスに対し、ハインがクラウスに声を掛ける。
「隊長、わたしが言い出した事ですし、わたしから確認と事情説明をさせて貰っても良いですか?」
青ざめていた女性が、ハインの言葉に驚いているが、顔色はまだ青いものの、先程よりはマシになる。
「ああ」
クラウスの了承を得たハインは、少し前に出て、女性に問う。
「わたしはハイン。近衛騎士直属見習いの試験に合格しましたが、貴族では無いので気を楽にして下さい。貴女は貴族の方、で合ってますよね?」
「はっ、はい……。わたしはシェリル=ガーデン=ハーツと申します」
シェリルと名乗った女性は、貴族令嬢がする挨拶をその場でする。
「貴女に頼みたい事が有ります。実は、こちらに居る姫君の居住区に、不審者が侵入しました。勿論、姫君には何事も有りませんでしたが、居住区の担当者の中に、内通者が居る可能性が有るそうで、姫君の侍女の方々も例外では有りません。その為人手が非常に少なく困っています。姫君の専属として、働いて頂けませんか?」
そうなってしまうのも無理は無い。
その場に居るのは、王子のウィンザックスと王女のルナルティーザ、将軍の息子にして近衛隊長のクラウス、そして両副隊長のゼクトとイージーだ。
ハインも居るには居るが、大物が揃い過ぎて、気付いてすらいないだろう。
本当はクラウスが隊員を一名連れて、交渉しようと思っていたのだが、ウィンザックスが妹の侍女にするなら先に顔を合わせて置きたいと言い出し、ルナルティーザがどんな方か見たいと言い、最低限の警護は必要だと両副隊長が名乗りを挙げた。
当然ハインを一人にする訳にはいかないし、ハインも、この面子の中に貴族とは言え、女性を一人放り込むのはさすがに可哀想だと思った為、同行した。
(さすがに、この面子をわたしが止める事は出来ないし、申し訳ないけど諦めて貰うしか無いよね?叱責とかじゃ無いから、大丈夫だよ、きっと……)
そうは思うもこの面子を相手に、親しい者なら兎も角、緊張しない一般人や貴族は稀だろう。
(まぁ、あの子なら、そんな素振り、微塵も見せなさそうだけど)
ハインの脳裏に、直ぐ下の弟で有るユリウスの顔が浮かぶ。
超絶的な美貌を持っていたであろう、今もその面影が残る祖父の、若い頃にそっくりだと言われる弟は、その美貌の所為か、持病で激しい運動が出来ず、その分年齢に似合わぬ頭脳と落ち着きを持つ所為か、童顔のハインよりも上に見られがちだ。
家族以外の他人に興味は無いが、その家族に余計な手出しをしよう物なら、自身を犠牲にしてでも相手をやり込めるその遣り方は、かなりエグい。
まぁ、そんな弟でも、ハインにとっては可愛い弟でしか無いが。
(でも、彼女が貴族じゃないかと言い出したのはわたしだし、わたしが事情説明した方が良さそうかなぁ)
「急に呼び出して済まない。俺は近衛騎士隊長のクラウス=ジェイドだ」
「ももっ、申し訳御座いません!わたくし、何かお気に障る事を致しましたでしょうか?」
「いや、そうじゃない。実はーー」
あまりに怯えた様子の女性に、困惑しながらも説明しようとするクラウスに対し、ハインがクラウスに声を掛ける。
「隊長、わたしが言い出した事ですし、わたしから確認と事情説明をさせて貰っても良いですか?」
青ざめていた女性が、ハインの言葉に驚いているが、顔色はまだ青いものの、先程よりはマシになる。
「ああ」
クラウスの了承を得たハインは、少し前に出て、女性に問う。
「わたしはハイン。近衛騎士直属見習いの試験に合格しましたが、貴族では無いので気を楽にして下さい。貴女は貴族の方、で合ってますよね?」
「はっ、はい……。わたしはシェリル=ガーデン=ハーツと申します」
シェリルと名乗った女性は、貴族令嬢がする挨拶をその場でする。
「貴女に頼みたい事が有ります。実は、こちらに居る姫君の居住区に、不審者が侵入しました。勿論、姫君には何事も有りませんでしたが、居住区の担当者の中に、内通者が居る可能性が有るそうで、姫君の侍女の方々も例外では有りません。その為人手が非常に少なく困っています。姫君の専属として、働いて頂けませんか?」
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