氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

32

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 エドワルドがリラの予想外の行動に、思わず固まってしまったので、リラは嬉しくなかったのかと慌ててエドワルドから距離を取ろうとし、そのまま家に逃げ込もうと挨拶を口にする。


「わたくし、家に戻ります!気を付けてお帰り下さいませ!」


 手を離し、玄関に駆け込もうとするが、離した筈の手を取られ、エドワルドの腕の中へと向かい合う形で閉じ込められる。

 勿論エドワルドにリラを逃がす気は無く、リラの感触、匂い、体温を直に感じ、夢では無い事を確認する。

(キャーッ、キャーッ、キャァ~~~ッ!!!)

 がっちり抱き締められて、リラは頭が真っ白になり、声も出せずにパニくりながらも、逃げようとするのに身動きが全く出来ない。


「逃がす訳が無いでしょう、まだ時間があると言った筈です。折角の貴女からの好意を、無駄になんてしませんよ」


 リラの耳に唇で触れながら囁くエドワルド。

(みみみみ、耳ぃぃぃ~~~~!!!当たってます、当たってます、当たってますよぅ~!)

 勿論エドワルドはわざとなのだが、リラはそこまで気が回っていない。


「でっ、でも、その、困らせる気は無かったと言いますか、ずっ、図に乗り過ぎましたので部屋に籠って反省します!」


 エドワルドは、顔を少しだけ離し、リラの額に自分の額を押し当てて、至近距離でリラと見詰め合う。

 そして、抱き締めていた腕の片方を解き、掌をリラの頬に添えて、ゆっくり撫でる。

(?!?)


「驚きはしましたが、困った訳では無いですよ。寧ろ、大歓迎です。もっとしたいし、されたい。良いですよね?」


 頬を撫でる手の親指で、リラに意識をさせる為、リラの唇をゆっくり撫で擦る。

(?!!)

 驚き、反射で身体を後ろに引こうとするリラの身体を、腰に回した片腕でしっかりと捕らえたまま、唇を寄せ、リラが言葉を発する前にその唇を塞ぐ。

 頬から後頭部に手を移動させ、リラが逃げられないように固定し、最初はその柔らかさを堪能する為、バードキスを繰り返す。

(……ああ、他人の唇とは、思っていたより柔かで温かいんだな。気持ち良過ぎて、癖になりそうだ)


「ちょっ……まっ……待って……」

「待たない」

「いっ……息……出来な……」


 顔を真っ赤に染め、瞳を潤ませ、息を切らせるその姿は色っぽく、まるで情事を彷彿とさせる。

 お陰でエドワルドはキスを止める事が出来ず、下半身はガチガチだ。

(何だこの可愛さは。こんな顔を男に晒して、無事でいられると思っているのか?ああ、今直ぐ抱き潰したい。だが、忠告を無視すれば式まで会えなくなるのは確実だ。仕方ない、今夜はこれで存分に抜く!!)

(しっ……死ぬ!窒息する!……てっ、手加減をして下さいまし~~~!!!)

 リラが酸欠で倒れるのは、後何秒か?リラは、エドワルドの背に回った力の入らない手を、必死に動かした。
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