103 / 805
本編
51
しおりを挟む
「陛下へのお目通りも済みましたし、リラ嬢、私と踊って頂けませんか?」
エドワルドが組んで無い方のリラの手を取り、甘ったるい笑顔でその指先へと口付けをする。
「よっ、喜んで」
(平常心、平常心ですわ!醜い表情を晒してなるものですか!!)
何とか表情を崩さずに返事をして、エドワルドと共にダンスフロアへと向かう。
優雅に、軽やかに踊り出せば、会場中から視線を集める。
何せ、一部の人間から、リラはダンスの出来ない令嬢だと噂を流されていたからだ。
「リラ嬢、私以外の男とは、絶対に踊らないで下さいね?」
ダンスの最中、エドワルドは小声でリラに話し掛ける。
リラが喋りながらでも完璧に踊れると知っているからだ。
「?わたくしを誘う物好きは、エドワルド様ぐらいだと思いますが」
「私の婚約者に興味を持たない輩等居ません。況してやこれ程上手いのならば、一度は踊ってみたいと、誘ってみたいと思う男がいる筈です。貴女の匂いに誘われて、必要以上に密着し、悪さを働こうと考えるかも知れません。ですから、貴女は絶対私以外の男とは踊ってはいけませんよ?」
「???そもそもわたくし、エドワルド様以外と踊る気はありませんわ。婚約者のいる者や既婚者を誘う意味が解りませんもの」
「そうだね。私もリラ嬢以外と踊る気は無いよ。でも、念の為、今度その意味を私が教えてあげる。クルルフォーン邸で、二人切りの時にね」
リラは首を傾げながらもコクリと頷く。
(愛人希望や、一夜のお誘いだと言う事も有るからね。胸や下半身を密着させて擦り、ドレスに隠れて情事の真似事やお誘いを堂々とダンス中にしてくる輩もいるから。これは、男女問わずいるけれど、男に誘われる女性の方が逃げ難いし、貴女にそんな被害を受けて欲しく無いから、実践を伴わせて教えるけれど、絶対に他の男となんか踊らせない。貴女が踊って良いのは私だけだ)
性癖は各々違うが、その中には、人目を盗んで他人の物を狙う質の悪い人間がいるからだ。
リラはエドワルドにとって、最愛であり、決して譲れない唯一の女性。
(貴女の匂いも何もかも、知って良いのは私だけだ。それ以外はいらない。私だけの物だ)
ダンスを続けながらもお喋りは続く。小声で話し合っている為、音楽に掻き消され、他の者達には聞こえずに話せるから、密談には最適なのだ。
「そう言えば、先程陛下に、結婚をお許し下さりと仰っておられましたが、もう結婚許可証を頂いたのですか?」
「ああ、勿論。言ったでしょう、逃がさないと」
「にっ、逃げる気はありませんので、捨てないで下さいね?」
無表情を装いながらも、見上げながら告げるリラの言葉に、エドワルドはこのまま抜け出し連れ帰りたくなった。
エドワルドが組んで無い方のリラの手を取り、甘ったるい笑顔でその指先へと口付けをする。
「よっ、喜んで」
(平常心、平常心ですわ!醜い表情を晒してなるものですか!!)
何とか表情を崩さずに返事をして、エドワルドと共にダンスフロアへと向かう。
優雅に、軽やかに踊り出せば、会場中から視線を集める。
何せ、一部の人間から、リラはダンスの出来ない令嬢だと噂を流されていたからだ。
「リラ嬢、私以外の男とは、絶対に踊らないで下さいね?」
ダンスの最中、エドワルドは小声でリラに話し掛ける。
リラが喋りながらでも完璧に踊れると知っているからだ。
「?わたくしを誘う物好きは、エドワルド様ぐらいだと思いますが」
「私の婚約者に興味を持たない輩等居ません。況してやこれ程上手いのならば、一度は踊ってみたいと、誘ってみたいと思う男がいる筈です。貴女の匂いに誘われて、必要以上に密着し、悪さを働こうと考えるかも知れません。ですから、貴女は絶対私以外の男とは踊ってはいけませんよ?」
「???そもそもわたくし、エドワルド様以外と踊る気はありませんわ。婚約者のいる者や既婚者を誘う意味が解りませんもの」
「そうだね。私もリラ嬢以外と踊る気は無いよ。でも、念の為、今度その意味を私が教えてあげる。クルルフォーン邸で、二人切りの時にね」
リラは首を傾げながらもコクリと頷く。
(愛人希望や、一夜のお誘いだと言う事も有るからね。胸や下半身を密着させて擦り、ドレスに隠れて情事の真似事やお誘いを堂々とダンス中にしてくる輩もいるから。これは、男女問わずいるけれど、男に誘われる女性の方が逃げ難いし、貴女にそんな被害を受けて欲しく無いから、実践を伴わせて教えるけれど、絶対に他の男となんか踊らせない。貴女が踊って良いのは私だけだ)
性癖は各々違うが、その中には、人目を盗んで他人の物を狙う質の悪い人間がいるからだ。
リラはエドワルドにとって、最愛であり、決して譲れない唯一の女性。
(貴女の匂いも何もかも、知って良いのは私だけだ。それ以外はいらない。私だけの物だ)
ダンスを続けながらもお喋りは続く。小声で話し合っている為、音楽に掻き消され、他の者達には聞こえずに話せるから、密談には最適なのだ。
「そう言えば、先程陛下に、結婚をお許し下さりと仰っておられましたが、もう結婚許可証を頂いたのですか?」
「ああ、勿論。言ったでしょう、逃がさないと」
「にっ、逃げる気はありませんので、捨てないで下さいね?」
無表情を装いながらも、見上げながら告げるリラの言葉に、エドワルドはこのまま抜け出し連れ帰りたくなった。
96
あなたにおすすめの小説
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる