氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

91

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「数日振りだね、リラ。会いたくて仕方無かったよ」


 エヴァンス邸を訪れたエドワルドはサロンに通され、リラが顔を出せば、立ち上がり、甘い笑顔で腕を広げる。

 リラは一応ダンに確認を取ってから、エドワルドの元へと向かい、その腕の中に収まる。


「お仕事、お疲れ様です。……わたくしも、お会いしたかったですわ」

「ああ、やはり本物は良いな。柔らかくて良い匂いだ。殺伐とした心が癒されるようだよ」


 思わずその存在を確かめるべく、ギュッと抱き締め深呼吸をするエドワルド。


「おっ、大袈裟過ぎですエドワルド様!昼間から酔っているようですわよ?!」

「馬鹿な連中が多くて、仕事が増えてしまってね。ジーン殿に手伝って頂いているから、スムーズに進んで嬉しいよ。ジーン殿はとても優秀だね」

「……はい。お兄様はわたくし自慢の兄様ですから」


 自分が誉められたかのように喜ぶリラが、可愛くて仕方無い。

 そんなリラがエドワルドを見上げて、少し心配そうな顔をする。


「エドワルド様、あまり無理はなさらないで下さいね?わたくし、少しぐらい会えなくても我慢は出来ますから、休める時はちゃんと休んで下さい」

「私は貴女に会いたいし、我慢なんてしたくは無いですよ。それに、私は貴女と会える方が元気になります。だから、追い返すのは無しだよ?」


 エドワルドはそう言って、リラの額に額を押し付け、更に甘く囁く。


「それに、それ程心配なら、リラが私を癒せば良い。例えばその唇で。リラからのキスが、私にとっては何よりの褒美だよ」


 エドワルドにそう言われて、ジーンと話した贈り物のお礼として、まだキスを贈っていない事を思い出す。


「ねぇ、ダン。少しだけ、エドワルド様と二人切りになっては駄目?」

「あー……。まぁ良いでしょう。ただし、嬢ちゃんの作った焼き菓子を持って来るまでの間で、キス以上は自重して下さいよ?」


 後半は、エドワルドを見ながら言う。


「……膝上に上げるのは?出来ればそのままが良いのだが」

「……まぁ、それぐらいなら。一応は言っときますが、扉の外には俺が控えてますんで、そこん所は宜しくお願いしますよ?ウチの嬢ちゃんの悲鳴が聴こえよう物なら、即刻踏み込みますからね」

「……承知した」


 エドワルドの了承を貰い、ダンは周りに控える侍女達を連れて、リラの望む二人切りにさせる為、扉の外へと移動した。
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