氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 部屋の扉がノックされ、リラが返事をする前に、エドワルドは素早くリラの唇へとキスをする。


「仲直り」

「~~~っっ!!」


 何だか、してやられた感が一杯で、リラは納得がいかない。


「何だぁ?どうした嬢ちゃん、そんな膨れて。公爵様、あんまウチの嬢ちゃん泣かすなよ?」

「何でも無いです!エドワルド様の思い通りにされてる気がして、悔しいだけですっ!」

「本人前にして言う事か?まぁ、嬢ちゃんらしいけどなぁ」

「本人を前にして言わずに、誰に言うのですか?!エドワルド様を前に文句を言わないと納得出来ません~っ!」


(普通は、本人のいない場所で言うんだけれどな。不満を本人にち撒ける人間なんて、あまりいないよ。本当、可愛過ぎて持ち帰りたい。何でこんなに可愛いのが、魑魅魍魎ちみもうりょう蔓延はびこる貴族社会で気付かれずにいたんだ?)

 リラを膝の上に抱えたまま、主従の会話を聞くエドワルド。


「そんな事言ってると、また良いようにされんぞ~。公爵様の方が上手うわてなんだからよぅ」

「だから悔しいのですぅっ!わたくしだけがエドワルド様に翻弄されているのですよ?!エドワルド様もそうなれば良いのにぃ~っ!!」

「いや、充分嬢ちゃんに翻弄されてんぞ?嬢ちゃんが気付かないだけで」

「わたくしが気付かないなんて、意味が無いですぅ!エドワルド様、ズルいぃ~っ!」

「それじゃあ夜会の夜の出来事を、リラが主導でしてみる?そうすれば、私がリラに翻弄されている姿が見れるよ?」


 エドワルドの言葉にリラが固まる。


「そっ……それはっ!……無理っ……ですぅっ!!!」

「それぐらいしないと、リラは私がリラに翻弄されている事に気付けないと思うよ?」

「……ズルいです。エドワルド様はズルいですぅ~……」


(……いつか、絶対エドワルド様を翻弄してみますからぁっっ!!)

 リラは無駄な決意を固めて、エドワルドをキッと睨み付ける。そんなリラを、微笑ましそうに見詰めるエドワルド。


「それは仕方が無いよ。私の方が年上だし、王族として、王宮に蔓延る魑魅魍魎と、常に駆け引きをしているから。それに、リラが気付いていないだけで、他の人達が見れば、私は充分リラに翻弄されているよ。陛下なんて、私を別人に向けるような目で見ていたのだから」


 その言葉にリラはキョトンとした顔をして、エドワルドを見詰め返した。
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