146 / 805
本編
94
しおりを挟む
部屋の扉がノックされ、リラが返事をする前に、エドワルドは素早くリラの唇へとキスをする。
「仲直り」
「~~~っっ!!」
何だか、してやられた感が一杯で、リラは納得がいかない。
「何だぁ?どうした嬢ちゃん、そんな膨れて。公爵様、あんまウチの嬢ちゃん泣かすなよ?」
「何でも無いです!エドワルド様の思い通りにされてる気がして、悔しいだけですっ!」
「本人前にして言う事か?まぁ、嬢ちゃんらしいけどなぁ」
「本人を前にして言わずに、誰に言うのですか?!エドワルド様を前に文句を言わないと納得出来ません~っ!」
(普通は、本人のいない場所で言うんだけれどな。不満を本人に打ち撒ける人間なんて、あまりいないよ。本当、可愛過ぎて持ち帰りたい。何でこんなに可愛いのが、魑魅魍魎が蔓延る貴族社会で気付かれずにいたんだ?)
リラを膝の上に抱えたまま、主従の会話を聞くエドワルド。
「そんな事言ってると、また良いようにされんぞ~。公爵様の方が上手なんだからよぅ」
「だから悔しいのですぅっ!わたくしだけがエドワルド様に翻弄されているのですよ?!エドワルド様もそうなれば良いのにぃ~っ!!」
「いや、充分嬢ちゃんに翻弄されてんぞ?嬢ちゃんが気付かないだけで」
「わたくしが気付かないなんて、意味が無いですぅ!エドワルド様、ズルいぃ~っ!」
「それじゃあ夜会の夜の出来事を、リラが主導でしてみる?そうすれば、私がリラに翻弄されている姿が見れるよ?」
エドワルドの言葉にリラが固まる。
「そっ……それはっ!……無理っ……ですぅっ!!!」
「それぐらいしないと、リラは私がリラに翻弄されている事に気付けないと思うよ?」
「……ズルいです。エドワルド様はズルいですぅ~……」
(……いつか、絶対エドワルド様を翻弄してみますからぁっっ!!)
リラは無駄な決意を固めて、エドワルドをキッと睨み付ける。そんなリラを、微笑ましそうに見詰めるエドワルド。
「それは仕方が無いよ。私の方が年上だし、王族として、王宮に蔓延る魑魅魍魎と、常に駆け引きをしているから。それに、リラが気付いていないだけで、他の人達が見れば、私は充分リラに翻弄されているよ。陛下なんて、私を別人に向けるような目で見ていたのだから」
その言葉にリラはキョトンとした顔をして、エドワルドを見詰め返した。
「仲直り」
「~~~っっ!!」
何だか、してやられた感が一杯で、リラは納得がいかない。
「何だぁ?どうした嬢ちゃん、そんな膨れて。公爵様、あんまウチの嬢ちゃん泣かすなよ?」
「何でも無いです!エドワルド様の思い通りにされてる気がして、悔しいだけですっ!」
「本人前にして言う事か?まぁ、嬢ちゃんらしいけどなぁ」
「本人を前にして言わずに、誰に言うのですか?!エドワルド様を前に文句を言わないと納得出来ません~っ!」
(普通は、本人のいない場所で言うんだけれどな。不満を本人に打ち撒ける人間なんて、あまりいないよ。本当、可愛過ぎて持ち帰りたい。何でこんなに可愛いのが、魑魅魍魎が蔓延る貴族社会で気付かれずにいたんだ?)
リラを膝の上に抱えたまま、主従の会話を聞くエドワルド。
「そんな事言ってると、また良いようにされんぞ~。公爵様の方が上手なんだからよぅ」
「だから悔しいのですぅっ!わたくしだけがエドワルド様に翻弄されているのですよ?!エドワルド様もそうなれば良いのにぃ~っ!!」
「いや、充分嬢ちゃんに翻弄されてんぞ?嬢ちゃんが気付かないだけで」
「わたくしが気付かないなんて、意味が無いですぅ!エドワルド様、ズルいぃ~っ!」
「それじゃあ夜会の夜の出来事を、リラが主導でしてみる?そうすれば、私がリラに翻弄されている姿が見れるよ?」
エドワルドの言葉にリラが固まる。
「そっ……それはっ!……無理っ……ですぅっ!!!」
「それぐらいしないと、リラは私がリラに翻弄されている事に気付けないと思うよ?」
「……ズルいです。エドワルド様はズルいですぅ~……」
(……いつか、絶対エドワルド様を翻弄してみますからぁっっ!!)
リラは無駄な決意を固めて、エドワルドをキッと睨み付ける。そんなリラを、微笑ましそうに見詰めるエドワルド。
「それは仕方が無いよ。私の方が年上だし、王族として、王宮に蔓延る魑魅魍魎と、常に駆け引きをしているから。それに、リラが気付いていないだけで、他の人達が見れば、私は充分リラに翻弄されているよ。陛下なんて、私を別人に向けるような目で見ていたのだから」
その言葉にリラはキョトンとした顔をして、エドワルドを見詰め返した。
74
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる