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本編
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エドワルドはリラと共に、ジーンの執務室へと訪れる。
「ジーン殿、余計な手間をお掛けして申し訳無い。ダンから聞きました。ラガート侯爵には手紙で抗議をしたと言うのに、まさか元凶自らが私に会いに来るとは思ってもいませんでした」
「ああ、気にしないで下さい。元々あの令嬢は、デビューの時期がリラと同じで、自分が目立たなかったと言う理由でリラによく絡んで来ていたのです。そして、リラに言い負かされては暴言を吐いて逃げ帰り、二週間程でまたリラに絡むと言った事の繰り返しで、猿より物覚えが悪いのですよ」
「なんて迷惑な……」
そして、リラの口からとんでもない過去が暴露される。
「しかも彼女、何を思ったのか、以前に一度だけ、わたくしの兄様を上から目線で『貴方ぐらいの容姿なら口説いて来ても構わないわ』とか言っていた事もあったのです。勿論、兄様はわたくしと同じ様な対応をしてらして、彼女はわたくし相手と同じ様に暴言を言いながら逃げ帰っていましたけれど」
いくら見知った令嬢の兄とは言え、紹介もされずに初対面でそれは不味いだろう。それでも彼女はそんな事にも気付く事無く、エドワルドと同様、女性から先に声を掛けると言うマナー違反を侵していたのだ。
(まさかのジーン殿に突撃……。嫌いなリラの義姉にでもなって、夫婦でリラを見下げる気でいたのか?ジーン殿も味方になるとでも思ったのかも知れないが、あまりにも無謀だろうに……)
「あれは夢の住人ですよ。最初は憐れだとも思いましたが、もういい加減、現実を知る歳だと言うのに、親も本人もそれを正さない。社交界に出た時点で気付くべき現実を、あの侯爵は教えなかった。我が子可愛さで躾をせず、他家にまで迷惑を掛け続けるなんて、親として最悪ですよ。物によっては金や権力で揉み消していたようですが、この家やエドワルド殿には通用しませんからね。同位と言えど、家格はエヴァンス家の方が上ですし、何より今は、未来の公爵夫人となったリラがこの家にいる。そんな家に押し掛ける等、あってはならない事ですよ」
ジーンはどす黒い笑顔で話を続ける。
「夢の住人であろうと、逆らってはいけない相手がいる事を、充分理解して貰わなければいけませんよね?今までは、未成年者と言う事で手加減をしていましたが、そうも言っていられませんので、現実世界をまざまざと思い知らせて見せますよ」
「私にも一枚噛ませて頂けますか?勿論リラ嬢に誤解させない為に、ジーン殿と行動を共にすると言う方向で。私が忙しい中で、どうにかリラ嬢との時間を捻出したと言うのに、その大切な時間を潰そうとしたのだから、それ相応の覚悟をして頂かないと」
エドワルドとジーンの二人は、どす黒い笑顔で微笑みあった。
「ジーン殿、余計な手間をお掛けして申し訳無い。ダンから聞きました。ラガート侯爵には手紙で抗議をしたと言うのに、まさか元凶自らが私に会いに来るとは思ってもいませんでした」
「ああ、気にしないで下さい。元々あの令嬢は、デビューの時期がリラと同じで、自分が目立たなかったと言う理由でリラによく絡んで来ていたのです。そして、リラに言い負かされては暴言を吐いて逃げ帰り、二週間程でまたリラに絡むと言った事の繰り返しで、猿より物覚えが悪いのですよ」
「なんて迷惑な……」
そして、リラの口からとんでもない過去が暴露される。
「しかも彼女、何を思ったのか、以前に一度だけ、わたくしの兄様を上から目線で『貴方ぐらいの容姿なら口説いて来ても構わないわ』とか言っていた事もあったのです。勿論、兄様はわたくしと同じ様な対応をしてらして、彼女はわたくし相手と同じ様に暴言を言いながら逃げ帰っていましたけれど」
いくら見知った令嬢の兄とは言え、紹介もされずに初対面でそれは不味いだろう。それでも彼女はそんな事にも気付く事無く、エドワルドと同様、女性から先に声を掛けると言うマナー違反を侵していたのだ。
(まさかのジーン殿に突撃……。嫌いなリラの義姉にでもなって、夫婦でリラを見下げる気でいたのか?ジーン殿も味方になるとでも思ったのかも知れないが、あまりにも無謀だろうに……)
「あれは夢の住人ですよ。最初は憐れだとも思いましたが、もういい加減、現実を知る歳だと言うのに、親も本人もそれを正さない。社交界に出た時点で気付くべき現実を、あの侯爵は教えなかった。我が子可愛さで躾をせず、他家にまで迷惑を掛け続けるなんて、親として最悪ですよ。物によっては金や権力で揉み消していたようですが、この家やエドワルド殿には通用しませんからね。同位と言えど、家格はエヴァンス家の方が上ですし、何より今は、未来の公爵夫人となったリラがこの家にいる。そんな家に押し掛ける等、あってはならない事ですよ」
ジーンはどす黒い笑顔で話を続ける。
「夢の住人であろうと、逆らってはいけない相手がいる事を、充分理解して貰わなければいけませんよね?今までは、未成年者と言う事で手加減をしていましたが、そうも言っていられませんので、現実世界をまざまざと思い知らせて見せますよ」
「私にも一枚噛ませて頂けますか?勿論リラ嬢に誤解させない為に、ジーン殿と行動を共にすると言う方向で。私が忙しい中で、どうにかリラ嬢との時間を捻出したと言うのに、その大切な時間を潰そうとしたのだから、それ相応の覚悟をして頂かないと」
エドワルドとジーンの二人は、どす黒い笑顔で微笑みあった。
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