氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

112

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 エドワルドはリラの部屋に入ると、先程のカウチにリラを横たえ、その上に覆い被さる。


「リラ。少しだけ顔を見せて。そんなにくっ付かれるのは嬉しいけれど、このままじゃ、リラにキス出来ない」


 エドワルドがそう囁けば、リラは腕を緩め、泣き顔のままエドワルドの顔を引き寄せ、自ら唇を重ねて来る。

(ああ、もう、可愛過ぎるっ!!暴走は駄目だが、時間や、日を掛けて、少しずつなら許される!今日は互いの服を脱ぐ事が出来ないけれど、服の上からなら、手早く整えて出られる分には文句は出ない筈だ!ずっと我慢をしていたのだから、大目に見てくれ!)

 エドワルドは、その場にいないダンに言い訳のような事を思いながら、リラの胸に服の上から手を押し付ける。

 リラの身体がビクッと揺れるが、リラは嫌がる様子を見せない。そんなリラに口を開けとばかりに唇を舐めると、リラは意図を理解し、口を開く。

 その咥内を、舌でゆっくりと味わいながら、胸をまさぐり、その感触を堪能する。

 そのままリラを、暫くの間味わい、唇を離してリラを見下ろす。

 目元が少し腫れている様だが、エドワルドからすれば大した問題でも無く、リラがそれ程気にする理由がよく分からないが、過去に他の誰かが何かしら言ったのかも知れないと思い、リラが気にしないようにと目元を舐める。


「リラ、可愛い。気にしなくて大丈夫だ。リラの泣き顔も充分可愛い。リラは、私の言葉だけを信じていれば良い」


 エドワルドはリラの顔中にキスの雨を降らせる。

(化粧が少し落ちてしまったみたいだけど、いつもより少しだけ幼いような、そんな顔も可愛い。この前の夜会の夜に見たリラのスッピンも可愛かった。あの時リラは、目を覚まさなかったけれど、結婚すれば見放題だし、普段の澄ました顔も可愛い。でも、一番は、あの時の顔。だれも知らない、私だけが知るリラの顔……)

 ふと、先程のダンとの会話が頭を過る。

 エドワルドは、リラと間近で見詰めて言葉を紡ぐ。


「リラ。私のリラ。他の誰が何と言おうと、私にとっての唯一はリラだけだ。エヴァンス家の人間なら未だしも、リラをよく知りもしない貴族連中の言う事は真に受けるな。この先、貴族の中には、私の名前を無断で使う者達とて出てくるかも知れない。だから、私が直接言う言葉だけを信じなさい。私はエヴァンス家のよく知る者以外に伝言は頼まないし、それ以外なら直接リラに言う。私がそう言っていた、と言う話は、男女関係無く疑いなさい。貴族の中には平気で嘘を言う者達もいる。言われた通りにして、リラが性的被害を受けるなんて事になれば、私は自分を許せなくなる。だから、一緒にいた私が万が一、リラと離れる事になる場合、私の言う言葉だけを聞きなさい。その後に私の名前を出されても、付いて行っては駄目だからね」


 リラはキョトンとしながらも、エドワルドの言葉に頷いた。
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