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本編

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「ジェフの言う通りだ。私は未来の花嫁を手離す気は毛頭無い。彼女を傷付ける要因は、全て取り除くつもりだし、その為の努力は惜しまない。今までは私がする方が速いからとさせなかったが、これからはエヴァンス侯爵家使用人達の協力の元で分担して貰う」

「あ、言い忘れてた。ジェフは自分から言わないだろうから俺が言うけど、ジェフは遠縁所かもろ血縁者ですよ。ジーン若様とリラお嬢様の従兄いとこですから」


 グラントが手を動かしながら言う言葉に、エドワルドとランドールが驚き、ジェフが舌打ちする。


「はぁ?!」

「ちょっと待て、詳しく話せ」


 グラントは喋りながらも、スピードはそのままで話を続ける。


「だ~か~ら、当主の妹の子なんですよ、ジェフは。髪は染めてるけど、元は青銀色です」

「私の父は平民だから、平民で問題無い。それに私は、能力でエヴァンス家の使用人の座を勝ち取ったのだ。血縁は関係無い。あの家が血筋優先で採用すると思うなよ?あそこは完全能力主義だ」

「今のあれ見て、コネで入ったって言う奴がいたら、目ぇ腐ってるだろ。後、口はこんなだけど、分からない事は聞いた方が速いよ。仕事関連なら文句を言いながらでもきちんと教えてくれる奴だから。それと、公爵様もジェフも、直ぐに首にするって言ってるんじゃなくて、ちゃんと努力しない者はだから。あ、全部無くなった。公爵様~、追加の仕事下さ~い!」

「……ランドール、後回しにした溜まっている物を今直ぐに持ってこい」

「はっ、はい!」


 エドワルドの言葉に、追加をドンドン運び入れるが、それをジェフが区分けして捌き、グラントが見る見る内に処理していく。

 エドワルドも速読出来るが、ジェフのそれは更に速く、グラントの纏めた物も、見易く解り易い。エドワルドが一時間掛けてする物も、二人で15~20分程の時間で終わらせていく。


「実際、最終確認の必要な物はこれだけです。それとて、後はサインを貰えば良い状態。これなら公爵様の時間も無駄に掛かりません。私達は慣れているのでこのスピードで出来ますが、それを真似しろとは言いません。それで直ぐに出来るようなら私の立つ瀬が有りませんからね。ですが、この状態に少しでも近付けるよう努力はして頂きたい。時間では無く、仕上がりの方ですよ。暫く貴方は私の下に付きなさい。屋敷の中の過去の書類も、グラントに統一させます。その上でこの先その書式に統一すれば、見たい資料も直ぐに見付かりますからね」


 そしてこの日から、クルルフォーン公爵家の人材育成が徐々に始まり、エヴァンス家の使用人達による、育成と言う名の洗脳調きょ……否、教育が始まったのだった。
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