226 / 805
本編
174
しおりを挟む
アナスタシアが着替え終わり、化粧はレベッカが施す。
今日はマティスと入れ替わらないと言うので、マティスに似せず、普通に男性に見えるようにメイクをしただけだ。
そして、アナスタシアの着ていたドレスをファーニーに渡して着て貰う。
「まぁ!相変わらず、ファーニー様は、わたくしそっくりに変装するのですわね」
「変装と声真似が得意ですから。元の顔があまり特徴の無い顔をしてるので、他人に化け易いのですよ。因みに、化粧に関しては、そこにいるレベッカの兄弟子ですが、私は他人に化粧を施すのは苦手なので、他人に施す場合はレベッカの方が腕は良いですよ。それとアナスタシア様、私の事は呼び捨てで構いませんよ。私は平民ですので、王妃様に様付けされると、居心地が悪いですから」
顔はそっくり似せていると言うのに、その口から流れる声は男の声なので、聴いてる者達からすれば、違和感が半端無い。
「わたくしが誰をどう呼んでいるのかも言わなければいけませんわね?」
「ああ、それも大丈夫です。実はそこにいる侍女、モーラとも幾度か入れ替わり、王妃様の周りを観察していましたから」
「全然気が付きませんでした……。さすが、変装のスペシャリストですね……」
「お褒めに預り光栄です。あまり長居すると、ジーン様が怪しまれてしまいますね。アナスタシア様はこの子と隠し通路で隠れていて下さい」
「ですが……」
王妃と言う立場上、男と二人切りになるのは困るのだ。アレクシスなら緊急だからと、許してくれるだろうけれど、アナスタシア自身が嫌なのだ。
それに気付いたファーニーが、もう一人の男の正体をバラす。
「ああ、大丈夫ですよ。この子は男装してますが、女の子ですから。双子で、もう一人は男の子ですが、その子とそっくりなんです。リラ様に忠誠を誓っている子達で、後で来る二人の内の一人がその双子の片割れですが、腕も確かです。ただし、共通語が苦手なので片言ですが、こちらの言葉はちゃんと理解していますから。そうだよね?ルナ」
ファーニーの言葉にコクコク頷くルナ。
「必要、服、脱ぐ?」
「まぁ!ご免なさい!大丈夫よ、そのままでいて頂戴!」
「ん。間違う、よくある。気にしない」
「弟とよく間違われる事があるので、気にしないで下さい、かな?」
「ん」
「だそうですよ。意思疏通が難しい場合は、リラ様が通訳してくれますよ。リラ様はルナ達の部族の言葉が解りますから」
「では、ルナ様。一緒に隠れて下さいな」
アナスタシアの言葉に、ルナは首を横に振る。
「様、無い。ルナ」
「分かりました。ルナ、一緒に隠れて下さい」
「ん。行く」
ルナはアナスタシアを連れて、隠し通路に向かった。
今日はマティスと入れ替わらないと言うので、マティスに似せず、普通に男性に見えるようにメイクをしただけだ。
そして、アナスタシアの着ていたドレスをファーニーに渡して着て貰う。
「まぁ!相変わらず、ファーニー様は、わたくしそっくりに変装するのですわね」
「変装と声真似が得意ですから。元の顔があまり特徴の無い顔をしてるので、他人に化け易いのですよ。因みに、化粧に関しては、そこにいるレベッカの兄弟子ですが、私は他人に化粧を施すのは苦手なので、他人に施す場合はレベッカの方が腕は良いですよ。それとアナスタシア様、私の事は呼び捨てで構いませんよ。私は平民ですので、王妃様に様付けされると、居心地が悪いですから」
顔はそっくり似せていると言うのに、その口から流れる声は男の声なので、聴いてる者達からすれば、違和感が半端無い。
「わたくしが誰をどう呼んでいるのかも言わなければいけませんわね?」
「ああ、それも大丈夫です。実はそこにいる侍女、モーラとも幾度か入れ替わり、王妃様の周りを観察していましたから」
「全然気が付きませんでした……。さすが、変装のスペシャリストですね……」
「お褒めに預り光栄です。あまり長居すると、ジーン様が怪しまれてしまいますね。アナスタシア様はこの子と隠し通路で隠れていて下さい」
「ですが……」
王妃と言う立場上、男と二人切りになるのは困るのだ。アレクシスなら緊急だからと、許してくれるだろうけれど、アナスタシア自身が嫌なのだ。
それに気付いたファーニーが、もう一人の男の正体をバラす。
「ああ、大丈夫ですよ。この子は男装してますが、女の子ですから。双子で、もう一人は男の子ですが、その子とそっくりなんです。リラ様に忠誠を誓っている子達で、後で来る二人の内の一人がその双子の片割れですが、腕も確かです。ただし、共通語が苦手なので片言ですが、こちらの言葉はちゃんと理解していますから。そうだよね?ルナ」
ファーニーの言葉にコクコク頷くルナ。
「必要、服、脱ぐ?」
「まぁ!ご免なさい!大丈夫よ、そのままでいて頂戴!」
「ん。間違う、よくある。気にしない」
「弟とよく間違われる事があるので、気にしないで下さい、かな?」
「ん」
「だそうですよ。意思疏通が難しい場合は、リラ様が通訳してくれますよ。リラ様はルナ達の部族の言葉が解りますから」
「では、ルナ様。一緒に隠れて下さいな」
アナスタシアの言葉に、ルナは首を横に振る。
「様、無い。ルナ」
「分かりました。ルナ、一緒に隠れて下さい」
「ん。行く」
ルナはアナスタシアを連れて、隠し通路に向かった。
76
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる