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本編

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「お待たせしました。こんな場所では何ですから、前の戦争の時に使用した、ドレファン国王を裁いた広間に向かいましょう。おや、今頃来たようですね。役立たずの重臣が」

「ききききっ……貴様等一体何をしているっ!!そこは神聖なる国王陛下の寝所だぞ!!!一体誰の許可を……国王陛下?!!」

「そこの兵士、捕まえなさい」


 ジルギリスがディーランの兵士に指示を出し、あっさりと捕縛される重臣。


「何をする?!このっ、卑怯者!!無礼にも程があるぞ!!!」

「それはこちらの台詞です。たかが下っ端風情が、誰に向かってその口を開いているのですか?しかも、卑怯者と言いましたね?和平条約を結んで置きながら、どの口が言う。先の戦争で大敗をしている癖に、その事実を隠蔽し、挙げ句、子孫に伝える事すら怠った馬鹿な国の無礼な振る舞い、その上、もし次に、ドレファンがディーランへと手を出した時に、ディーランはドレファン国王を裁ける立場にあると言う事も、その裁きで国王や重臣含む上部の者達の殺害を許される立場にあると言う事も、何も知らないのでしょう?民が勝手にした事だろうと、国王が責任を取る事になっていると書かれた機密文書が存在する事自体しらないのでしょうから。ですが、知らないからと、逃げられる問題では無いのですよ。これは喩え、ドレファン側が無くしたとしても、有効性の有る物で、この文書は最優先事項とされている物、ドレファン側での無効は出来ない物と明記されているのだから」

「そっ、そんな物がどこに有ると言うのだ!!!」

「そう言われると思って、ディーランの国王である私が、態々持って来てやったぞ。この文書を知らないと言った所で、ドレファンに逃げる手は無い。当時の次期ドレファン国王が命乞いする際に書かせた物だからな。次にディーランに手を出した場合、ディーランの采配に全て任せると書かれてある。言って置くが、過去のドレファン国王の偽造文書を作成する程、ディーランは暇では無い。ドレファンの国土等、邪魔でしか無いから欲しいとすら思った事も無いからな」

 
 心底迷惑そうに言うアレクシスの物言いに、ドレファンの国王は開いた口が塞がらない。


「何が神だ。自国を潤す事すら出来ずにいる、ただの疫病神ではないか。神と言うのなら統治した国内ぐらい豊かな土地にすれば良いものを。人であるディーランに出来て、神の末裔であるドレファンに出来ない?馬鹿じゃないのか。そんなの神でも何でも無い。ただの愚図だ」


 アレクシスは冷たく言い切り、兵士に愚王を運ぶよう指示を出した。
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