氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

209

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 そうして、リラ達がもう暫く王宮に滞在する事になり、溜まっていた雑務を熟していく。

 と言っても、ジーンやアナスタシアがある程度減らしてくれていたので、一ヶ月も王宮を空けていたような量とは思えない程だ。

 それに、不在だったマーウィンもジルギリスも居るので、仕事がサクサクと進む。

 アレクシスやエドワルドが不在中に仕事をサボったり、侍女に手を出そうとしていた者達は、減俸や左遷等の処分を受け、中には抗議をする者達もいたが、ジーンが嘘を言っていると?と言われてしまい、押し黙るしかない。

 エドワルドは、リラの居ない屋敷に仕事の書類を詰め込んで、ジーンと共にエヴァンス邸に二~三度程向かい、リラでは無くマッドと会って、何人程居るのか、最後に来た奴等はどれぐらい前なのかを書類で確認し、あの口の軽い若い兵士と、最初の頃の奴等は解放する。と言っても、兵士は辺境に左遷、他の犯罪者達は坑山に送る手配をして、そっちに移送するだけなのだが。

 因みに仕事の方は帰還から一週間程で、滞っていた物がほぼ正常に戻り、リラ達も屋敷に帰る事が決まった。

 エドワルドは、王妃に呼び出されたり陛下に食事を誘われたりして、仕事の話も進める為と理由を付けるが、実際リラに会いに行っていたような物で、あまりのんびりとはしていられないが、隠し通路の存在も教えて貰い、それを使用し、毎晩同じ時間帯に顔を出すように努めた。

 場所が王宮で、リラは侍女に化けて来ている為に、二人切りで会う事も、キスすら出来ない状況ではあるものの、それでもリラと共に過ごせる時間は貴重で、少ない時間でも毎日会えると言う事にエドワルドは喜んでいた。

 何せ、ドレファンで愚女を散々見た後だ。リラのちょっとした表情や仕草が可愛過ぎて仕方無い。見ているだけでも相当癒されると言う物だ。

 その声を聞き、姿を見、リラの居なかった日々の苛立ちや、遣る瀬無さが少しずつ消えていく。

 とは言っても、エドワルドは男であり、見ているだけで良いと言える程、無欲でも無心でも無い。

 リラが公式に王宮へと訪ねて来ているのなら、誰に見られようとも、婚約者なのだからと言い切れるが、今の姿で噂になれば、他の勘違い女達がしゃしゃり出てくる可能性も、捨て切れない。

 リラの夢や妄想を見て、リラを抱き、貪るが、リラ本人では無い事が時折虚しくなる。

 今度二人切りになった時は、リラ本人を存分に堪能したい。

 エドワルドは、リラとの二人切りでの逢瀬を心待ちにし、エヴァンス邸で少しでも二人切りの時間が取れたなら、先ずは唇だけでも存分に貪る事を決めた。
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