氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

211

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「ああ、君の母親で思い出した。ハンナ様はドレファンへと向かう際に、邪魔になるから流行り病に見せ掛けて、とある場所にて監禁中です。身体に後遺症の無い毒薬を投与し、新種の病だと見せ掛けているので、長期化しても疑われませんが」

「おおおおっ、お父様?!!ハンナ様はエドワルド様の母親ですよ?!」

「ああ、リラは知らないのか。ハンナ様はね、エドワルド君を育児放棄しただけでなく、幼子おさなごに一人で食事をさせたり、暗殺しようと企んだり、挙げ句、謀叛を企ててるなんて嘘の噂を流したり、エドワルド君に迷惑ばかり掛けてる質の悪い母親なんだよ」

「……それは、下手をすれば、エドワルド様が死んでいた事態ではないですか!!」

「うん。ただし、やり方が雑だし、バレバレだから、対処法はいくらでもあったけどね」

「何故、それ程までにエドワルド様を?」

「さぁ?ただ気に入らないってだけで、稚拙な嫌がらせをする女だからね。リリーなんてマーウの婚約者候補に挙げられていた時期があって、そんなリリーが気に食わなかったのか、子供のような嫌がらせをしていたみたいだよ?勿論ちゃんと報復はしたけどね」

「……そうですか……。エドワルド様。わたくしは、わたくしの大切なエドワルド様を、ハンナ様に奪われたくは有りません。この先、わたくしがずっとエドワルド様を独り占めするのです!!ですから、ハンナ様は切り捨てて下さい!母親であろうとエドワルド様に害を与える者は、わたくしが絶対に許せませんもの!!」


 そんな事を言い切るリラに、エドワルドが心底喜んでいるのだが、リラはそれに気付かない。

「……ああ、リラが独り占めしてくれるのならば、私は何でも言う事を聞くよ」


 エドワルドが嬉しそうに笑うのを見て、本気に取られていないと思い込み、リラは納得がいかない。


「わたくし、本気ですのよ?!エドワルド様は母親だろうと、他の女性と親しくしないで下さい!!」

「リラ、多分それは無理よ?だってわたくしも王妃様も、エドワルド様に近付いてしまうもの」

「……お母様や、シアお義姉様は良いのです!でも、ハンナ様は嫌です!!何が気に障ったのか知りませんが、自身の子供に危害を加えるなんて、母親とは呼べません!わたくしがエドワルド様を貰い受けるので、近付いて来たら容赦しませんわ!!」

「まぁ、あれはいつでも幽閉出来るし、暫く動けないから大丈夫だよ。リラの大事な結婚式まではこのまま監禁するつもりだし、(偽の)病を発症中だし療養中だから、呼べない事にするけど良いよね?どうせ呼んでも、エドワルド君に危害を加えようとして、式を妨害し兼ねないから」

「呼ばなくても良いです!そんな人に、エドワルド様の晴れ姿を見せる必要は有りませんもの。結婚後に挨拶する事があるとしても、エドワルド様は返しませんわ!!」


 万が一、ハンナがリラに何かをしようとしたら、その時は倍にして返す。その場にいた使用人達を含めた全員の心が一致した瞬間だった。
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