氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 翌日、リラからの差し入れに幾分機嫌が上昇し、皆が皆、通常業務をこなして行く。

 因みに、昨夜はあの後、アナスタシアがレオンの所に早速赴き、人払いした後に大激怒し、その後、アレクシスもレオンを数時間に及ぶ説教をしながら、反省文を只管書かせ、普段なら、子供のレオンが絶対に起きていない時間帯、日付が変わろうとする真夜中までアナスタシアとアレクシスの説教が続き、本日の早朝、日の出と共にマーウィンの襲来に遭い、学院生活でたるんでいる生活の見直しと評し、人払いされた訓練場で、みっちりしごかれているようだ。

 しかも、そんな場所にジルギリスは現れ、近衛に声を掛けてあっさり入れて貰い、マーウィンにリラからの差し入れですよと声を掛け、レオンの前で渡す。


「おっ、お祖父様?!もしかして、エヴァンス家の令嬢と面識が?」

「面識も何も、リラちゃんは私のお気に入りで、昔からエドワルドの嫁に欲しいと狙っていたが、諸事情により断念していた娘のように思っている子だ。今回エドワルドからリラちゃんとの婚約を王命で取り付け、結婚するとか報告が入って、長年諦めていた夢が叶うと大喜びしていたと言うのに、そのリラちゃんを罪人扱いするお馬鹿が現れてなぁ。心底呆れたわ」


 レオンに冷たい視線を向け、更に追い詰める事実を口にする。


「あの娘は子供の頃に、知り合って間もない貴族の子息に、散々嫌な目に遭わされ、対人恐怖症に陥ったから、初対面で近付く相手を威嚇しとっただけだ。そんな可哀想な娘に、気に入らないからと散々悪評を流し、貶めようとする連中に良い様にされるなんてなぁ。知らなかった?悪人に仕立てられた相手にとって、そんな物、言い訳でしか無いわ」


 そんな事を言いながら、マーウィンはリラからの差し入れを開ける。


「おお、リラちゃんの手作り菓子か!前にも食った事があるが、物凄く美味かったなぁ。……先に言っとくが、やらんぞ」


 レオンは物欲しそうな視線をマーウィンに向けていたが、当然マーウィンは冷たく拒否する。


「では、私はこれで。ああ、レオン君、君の為の特別講義を昼に開くから、それまでちゃんと食事はしておいた方が良いですよ」

「特別、講義?」

「本当は学院卒業後にする予定でしたが、やはりそれでは遅いと思いまして。君の父親はもっと幼い時にしていたので、年齢的には問題ないと思いますから」


 いつも通りのジルギリスを見て、ホッとするレオン。ジルギリスも激怒しているだろうと思っていたからだ。

 レオンはまだ気付いていない。この後の特別講義がどんな物かを。そして、ジルギリスは単に普段通りに見せ掛けるのが上手いだけだと言う事を。レオンはこの後地獄を見聞きしたのだった。
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