氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
280 / 805
本編

228

しおりを挟む
 レオンの教育係りには、レオンがとある令嬢へ罪人に対するような書簡を送り、内々で相談された事で発覚した事を報せ、レオンの教育の見直しと、教師の入れ替え、再教育の際に必ず意味を理解しているのかを確認した上で先に進むようにして欲しいと伝える。

 そして、レオンの再教育は、休みを年明けの二日間のみにして、学院に戻る日まで続けられる事になった。

 そうして年越しのパーティーをする三日前程に、王宮では年越しのパーティーの準備も全て整い、政務も仕事納めとなった頃、誰かを探すバルトを見掛けたので、エドワルドが声を掛ける。


「バルト殿、この時期に王都にいるなんて珍しいですね。誰をお探しですか?」

「エドワルド殿!あの手紙の内容は本当なのですよね?!」


 どうやらバルトの探し人は、エドワルドだったようだ。

 手紙の内容と言われ、一瞬何の事だと思ってしまったが、そう言えば、リラの所にいる双子の事を手紙に書いたなと直ぐに思い出す。レオンの騒動で、すっかり忘れていたが、普段王都で年末を過ごす事のあまり無いバルトが王都に来た理由は、アイザーク族の双子の存在を確認する事だったようだ。


「双子はエヴァンス邸に居ますよ。ジルギリス殿が帰還されていますが、今はレオンの所で教育中なので、夕刻までお待ち頂けますか?双子達はバルト殿に会うと言っていましたが、約束を取り付けるにしても、ジルギリス殿に声を掛けた方が断然良いですからね」

「勿論です!それで、その双子とはどんな子達ですか?」


 キラキラとした子供のような瞳をエドワルドに向けてくるバルトに、エドワルドは答える。


「双子達は共通語が苦手なようで、聞き取りは出来ていますが、喋るとなると、二言三言の片言になりますね。その代わりアイザーク語ではスラスラと喋ってくれますよ。その為貴族の礼儀やマナーは大目に見てあげて下さい」

「ああ、本来ならば人里に下りて来る事はあまり無いからね。それは仕方の無い事だよ」

「男女の双子ですが、とても息の合った双子です。もう少し成長すれば、見分け易くなるかも知れませんが、今はまだ、それ程の差異は有りませんね。服装は普通の服なので、他の子達と見分けは付かないかと思いますが、元気な子達です」

「そうか。会うのが楽しみだなぁ」


 アイザーク族と会って話してみたかったとずっと思っていたバルトが嬉しそうだ。


「だが、何故エヴァンス家にいるのだろう?」

「詳しくは私も聞いていませんが、二人共、リラ嬢を心底慕っているようですよ。リラ嬢に忠誠を誓っているそうですから」
しおりを挟む
感想 2,440

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

黒騎士団の娼婦

イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...