氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

本編

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　レオンの講義を終えたであろうジルギリスを捕まえて、挨拶をする。


「お久し振りです、ジルギリス殿」

「ああ、バルト殿。お久し振りです。珍しいですね、この時期はいつも奥方と一緒に過ごしたいのと、ドレファンの警戒を強めていた為、いつもローズウッド領にいらっしゃる事が殆どだったのに」

「陛下やドレファンに赴いて下さった皆様のお陰で、ドレファンに対して警戒を強めずに済み、妻と一緒に王都へと来れました。その……、ジルギリス殿の屋敷に、アイザーク族の子供達がいると、エドワルド殿にお聞きしたのですが、その二人と会って話がしたいと思っているのです。エヴァンス令嬢はエドワルド殿との婚礼の準備で忙しいでしょうから、その二人、もしくはエヴァンス令嬢以外の保護者的な人が同伴して頂いて構いませんので、都合を付けて頂けませんか？勿論、私が無理を言っているのは承知していますので令嬢が同席の方が良いと仰るのなら、半年先になっても構いません。ですから約束だけでも取り付けて頂きたいのです」


　これが貴族同士での、約束を取り付けると言う事だ。レオンのように一方的に呼び付ける等、有り得ない事なのだ。


「ああ、それならばエドワルド殿と一緒に、今から屋敷に来て頂いて結構ですよ。双子達も即答していたので、喜びますから。勿論バルト殿に時間が有ればの話ですが」


　あっさりとしたジルギリスの返答に、バルトは喜ぶ。勿論エドワルドは、エヴァンス邸に寄ってリラに会う気でいたので問題は無い。


「良いのですか?!当主のジルギリス殿が良いと仰るのならば、お邪魔をさせて頂きます！」

「バルト殿は馬ですね。奥方が来ていらっしゃるのならば、ローズウッド家の者に遅くなると、伝言をして置きましょうか？」

「ですが、突然の訪問なので、長居してはご迷惑では……」

「大した持て成しは出来ないかも知れませんが、それでも宜しければ。それでは使いの者を出させます。行きましょうか」


　そう言ってジルギリスは馬車に向かうと、馬車にはジーンがいたので、ジーンに事情を話す。それを聞いたジーンは頷き、護衛の二人に声を掛け、一人はローズウッドの王都の屋敷、もう一人はエヴァンス家の屋敷にエドワルドの他に客が来る事の伝言を頼み、馬車に同乗するか、馬で付いて来るかをバルトに尋ねる。


「私は馬車よりも馬の方が良いので、馬で行きます」


　バルトは上機嫌で自分の愛馬に跨がり、エヴァンス家とクルルフォーン家の馬車の後ろから付いて来るのだった。