氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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「王族の王都での式は、全ての当主、もしくは当主代理が参加する決まりですので、一度で済みますものね。リラ様はエドワルド様との結婚が、確定していますもの。わたくしの大事な義妹に手を出そうとする不届きな者達は、全員纏めて国賊にすれば良いのです。エドワルド様、無いとは思いますが、リラ様に愛想を尽かされないで下さいね?」

「これ以上無い程大事にするつもりなので大丈夫ですよ。そもそも、リラ嬢以外の女性に興味は湧きませんので」

「わっ、わたくしがエドワルド様に愛想を尽かすなんて無いですよ。愛想を尽かされるとすれば、わたくしの方ですもの!」


 リラの自信満々な言葉に、その場にいた全員が内心で即座に否定する。

 万一リラがエドワルドに愛想を尽かす事は有っても、エドワルドがリラに愛想を尽かす事は無いと。

 そもそもエドワルドが他人に興味を示した事自体が無かったのだ。そんなエドワルドが、有り得ない程にのめり込んでるリラに、愛想を尽かす訳が無い。

 そうでなくとも王家の人間は一途な者が多いのだ。手に入れたからと、放置するような薄情な類いの人間では無い。


「大丈夫ですわリラ様。エドワルド様がリラ様に愛想を尽かすと言う事は有り得ません。ディーランの歴代王族は、伴侶と離縁した事も、後妻を貰った事も無いとされています。それをエドワルド様がすれば、王族の恥になりますし、わたくしもリラ様を捨てるような方であれば、王族から放り出して差し上げますわ!」

「そっ、それは駄目です!」

「私がリラ嬢を捨てる事は有り得ないので、構いませんよ。寧ろ、そんな時が来ればこの首を差し上げます」


 さらっと言い切るエドワルドにリラが慌てる。


「エドワルド様?!」

「私がリラを手離す気は全く無いのだから、そんな仮定は無意味だよ。リラが死ねば、私も後追いをするつもりだから、私を生かして置きたければ、リラは何がなんでも生きる事だね」


 にっこりと爽やかな笑顔でリラに言い切るエドワルドに、リラは唖然とするしかない。

 それでも、厄介な相手に捕まったと言う自覚の無いリラは、嬉しそうに微笑み出す。


「それなら、わたくしもエドワルド様を捨てる事は有り得ませんわ。わたくしだってエドワルド様以外の他の人なんて考えられませんもの」


 リラはにこにこと嬉しそうに笑っている。


「……エドワルドのあの言葉を、平然と受け止められる令嬢と言うのは凄いな……」


 アレクシスがボソッと呟くが、その言葉をリラが聞き取る事はなかった。
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