氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
308 / 805
本編

256

しおりを挟む
 屋敷に帰った後に、エドワルドはジェフに相談して、ジェフの了承を貰い、年が明けて王宮の仕事が通常通り再開される日の朝、職場へ向かう前にアレクシスとアナスタシアのいる所に顔を出す。

 そして、ジルギリスに相談した事と、ジェフがレオンの従者として一時的にではあるが、周囲とレオンの見張りと再教育、そしてレオンを諌める役割と日々の報告を引き受けてくれる事を、本人の了承を得た上で任せてもいいかとアレクシスに問う。

 今のままでは周囲を入れ替えただけになり、入れ替わった者達も同じ事をしないとは限らない。

 なので、確りとした後任を育てられる人材をレオンの側近に付けて、様子を見ようと持ち掛けた。

 ただし、ジェフはリラとジーンの従兄に当たり、レオンに対する風当たりが強い事や、元々が王太子だからと手加減するようなタイプの相手では無い事も話して置く。


「ジェフ=エヴァンスなら覚えている。エヴァンス家の親類だとは聞いていたが、ジルギリス殿の甥だとは知らなかったな」

「ジェフはエヴァンス家の血筋だからと、特別視されたくないと言っていましたからね。髪も染めていたし、最初は私も知りませんでしたが、他の使用人が教えてくれたんですよ」

「エヴァンス家の方で、ジルギリス様が認めて下さっている方ならば、そのジェフ様には直ぐにでも入って頂きたいですわ。レオンには少し厳しい方の方が良いですもの。二度とあんな不手際が起こらないように、厳しく見張ってて頂けるならば、こちらも安心してお任せ出来ます。特別視されたくないのなら、髪はそのままで結構ですわ。アレク様がツテを頼りお呼び立てした事にして、ジルギリス様の甥である事は、わたくし達とレオンだけが知っていれば良いのです」


 アナスタシアは、にっこりと微笑み了承する。

 レオンに知らせるのは、被害者側の身内が、レオンに対してどう言う感情を持つのか、その身で知らしめる為と、その身内に対し、レオンがどう誠意を見せるか見る為でもある。


「では、一日でも早い方が良いので、明日の朝、今日より少し早い時間に、ジェフと共に来ます。レオンにも、そう伝えて置いて下さい」


 そう言ってエドワルドは職場に向かい、ジーンにも、ジェフが明日から王宮に来る事を伝えて、年明け初日の仕事を熟していった。

 そして翌朝、エドワルドがジェフを連れて王宮の奥へと入り、ジェフは王太子付きの従者として雇われる事になった。

 勿論ジェフは、会ったばかりのレオンに毒を吐き、久し振りに会ったアレクシスに嫌味を言うのも忘れなかったが。
しおりを挟む
感想 2,440

あなたにおすすめの小説

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

黒騎士団の娼婦

イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

処理中です...