307 / 805
本編
255
しおりを挟む
年が明けて、王宮の政務が通常通り再開する前に、エドワルドがジルギリスに相談する。
レオンを諌められるような使用人は居ないかと。
「う~ん。レオン君の侍従となると、王立学院を卒業した者でないとそれこそ嘗められるからねぇ。一番の適任者はジェフだけど、ジェフは妻子持ちだからなぁ。今回王都に出て来てくれたのも、王命と聞いてリラが心配だったからだろうけど……。一時的な処置と言う事で、ジェフ自身に相談してみたら良いんじゃないかな?あの子なら二、三ヶ月である程度、周囲も教育出来ると思うし、アレクシス君とも面識が有るからね」
「……?兄上と?」
「有ると思うよ?だってジェフは、アレクシス君と同学年だったし」
まさかの接点にエドワルドは驚く。
「まぁ、アレクシス君は、エヴァンス家の人間を苦手と認識してるから、自ら近付きたいとは思わないだろうし、ジェフは絡まれない限りは大人しいから、それ程の面識は無いかも知れないけれどね。ジェフは覚えてると思うよ?だって、一応当時の監視対象だから」
「監視対象、ですか?」
「ああ、正確にはアレクシス君の見張りと、アレクシス君に近付こうとする相手の調査になるかな。学院生活で、私が折角教育した事を忘れたり、甘言に騙されたりしないようにと、一応見張らせていたんだよ。まぁ、その頃のアレクシス君は、ちょっとした人間不信に陥っちゃってたから、大丈夫ではあったんだけどね」
その張本人であるのが、エドワルドの前にいるジルギリスだったりするのだが。
「ただ、ジェフを一時的にクルルフォーン邸から王太子付きにするのは構わないけれど、ジェフの代わりは一人では務まらないだろうから、数人を追加でクルルフォーン邸に通わせた方が良さそうだね。ジェフが行くと言ったら、ジーンに言ってくれたら良いよ。まぁジェフならレオン君がリラにした事を知れば、行くと言うだろうね。その代わり、私の甥っ子として行く事になるし、ジェフは王太子だろうと手加減はしないだろうから、それは一応アレクシス君にも言って置いた方が良いと思うよ?」
「分かりました。兄上と義姉上にも話して置きます。ジェフがクルルフォーン邸から居なくなるは少し痛手ですが、ジェフが来てくれたお陰で、クルルフォーン邸内もかなり改善されました。一時的とは言え、とても良い人材をお貸し頂いた事に感謝します」
「ああ、これからもウチの使用人達が好んで行くと言ってるのだから、気にしないで良いよ。リラがそちらに嫁げば、侍女達も行くと言ってるぐらいだからね。まぁ、リラの世話をしたい者達だから、エドワルド君に手を出そうとする者はいないし、安心して良いよ」
何せリラ大好きは、レベッカだけでは無いのだ。既婚者ですら、リラと旦那のどちらを優先するかでリラを取る者達なのだ。
そんな侍女達が大好きなリラを悲しませるような事をする筈も無ければ、見過ごす筈も無い。
エドワルドは、安心してリラだけ愛でれば良いのだ。
ジルギリスのその言葉は、エドワルドにとっても大変有り難い事だった。
レオンを諌められるような使用人は居ないかと。
「う~ん。レオン君の侍従となると、王立学院を卒業した者でないとそれこそ嘗められるからねぇ。一番の適任者はジェフだけど、ジェフは妻子持ちだからなぁ。今回王都に出て来てくれたのも、王命と聞いてリラが心配だったからだろうけど……。一時的な処置と言う事で、ジェフ自身に相談してみたら良いんじゃないかな?あの子なら二、三ヶ月である程度、周囲も教育出来ると思うし、アレクシス君とも面識が有るからね」
「……?兄上と?」
「有ると思うよ?だってジェフは、アレクシス君と同学年だったし」
まさかの接点にエドワルドは驚く。
「まぁ、アレクシス君は、エヴァンス家の人間を苦手と認識してるから、自ら近付きたいとは思わないだろうし、ジェフは絡まれない限りは大人しいから、それ程の面識は無いかも知れないけれどね。ジェフは覚えてると思うよ?だって、一応当時の監視対象だから」
「監視対象、ですか?」
「ああ、正確にはアレクシス君の見張りと、アレクシス君に近付こうとする相手の調査になるかな。学院生活で、私が折角教育した事を忘れたり、甘言に騙されたりしないようにと、一応見張らせていたんだよ。まぁ、その頃のアレクシス君は、ちょっとした人間不信に陥っちゃってたから、大丈夫ではあったんだけどね」
その張本人であるのが、エドワルドの前にいるジルギリスだったりするのだが。
「ただ、ジェフを一時的にクルルフォーン邸から王太子付きにするのは構わないけれど、ジェフの代わりは一人では務まらないだろうから、数人を追加でクルルフォーン邸に通わせた方が良さそうだね。ジェフが行くと言ったら、ジーンに言ってくれたら良いよ。まぁジェフならレオン君がリラにした事を知れば、行くと言うだろうね。その代わり、私の甥っ子として行く事になるし、ジェフは王太子だろうと手加減はしないだろうから、それは一応アレクシス君にも言って置いた方が良いと思うよ?」
「分かりました。兄上と義姉上にも話して置きます。ジェフがクルルフォーン邸から居なくなるは少し痛手ですが、ジェフが来てくれたお陰で、クルルフォーン邸内もかなり改善されました。一時的とは言え、とても良い人材をお貸し頂いた事に感謝します」
「ああ、これからもウチの使用人達が好んで行くと言ってるのだから、気にしないで良いよ。リラがそちらに嫁げば、侍女達も行くと言ってるぐらいだからね。まぁ、リラの世話をしたい者達だから、エドワルド君に手を出そうとする者はいないし、安心して良いよ」
何せリラ大好きは、レベッカだけでは無いのだ。既婚者ですら、リラと旦那のどちらを優先するかでリラを取る者達なのだ。
そんな侍女達が大好きなリラを悲しませるような事をする筈も無ければ、見過ごす筈も無い。
エドワルドは、安心してリラだけ愛でれば良いのだ。
ジルギリスのその言葉は、エドワルドにとっても大変有り難い事だった。
57
あなたにおすすめの小説
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる