氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 食事を終えて、業者が来るまでの時間、屋敷の一階部分を見て回る事になったリラは、とても嬉しそうだ。

 エドワルドの書斎と図書室が楽しみで、仕方がないと言った感じだ。

 屋敷の見取り図を見せて貰っていたが、本来、図書室の上に有る筈の部屋が、見取り図では扉が無く、空白のままだった。

(二階部分まで、吹き抜けになっているのかしら?)

 リラは、期待に胸を膨らませ、図書室の扉を開けるが、天井は先程までいた食堂と、大して変わらない。 

 リラが、若干しょんぼりとしながら、本のラインナップを見ていくと、知らない本や、読みたくても手に入らなかった本が沢山並んでいて、直ぐにリラの機嫌が上昇する。

 リラは、隣に執務室兼書斎の扉がある方とは真逆に進み、突き当たりの壁面にある本棚の所まで来たので引き返そうとする。とその時、エドワルドがリラに声を掛けた。


「リラ、二階には上がらなくて良いの?」


 リラは、何の事かと首を傾げる。

 エドワルドは、突き当たりの本棚を指差し、ルナとルネに声を掛ける。


「ルナ、ルネ、軽い力でも動くから、本棚を右へと動かしてご覧」

「「動く?これ?」」


 双子達が本棚を押せば、本棚の後ろから扉が出てくる。

 リラは吃驚して、扉をまじまじと見ていると、エドワルドがリラに鍵を見せる。


「これがその扉の鍵だよ。三階に続く階段も有るけれど、そこの鍵は別物だし、私の部屋へと続いているから、取り敢えずは二階だけだよ」


 エドワルドから鍵を手渡され、リラは二階へ続く扉を開ける。

 扉を開けると、真上に天窓が設置されているので、充分明るい。扉の中側にも本棚が有り、小部屋のような空間の奥に、二階に上がる階段が有る。

 そこを上れば、小部屋と図書室を合わせた広さの部屋にも、沢山の本棚が有り、王立図書館では閲覧許可を取らなければ見られないような、現存数の少ない貴重な本ばかりが並んでいる。

 それも、エヴァンス家が所蔵する本とは、また別の類いだ。

(凄いです、わたくしでも名前だけしか知らないような本や、他国の本まで並んでいます!ああ?!この一帯に有る本は、他国所か違う共通語ので書かれている書物です!!)

 リラは、キラキラした目で題名を追い、とても楽しそうに本を見ている。


「結婚した後は好きなだけ読んでも良いよ。ただし、私がいる時は私の相手が優先だけれどもね」

「もももも、勿論ですわ!」


 一通り部屋を見て回り、リラはご満悦だ。

 一階へと引き返し、図書室から続くエドワルドの執務室となる書斎を覗き、そこにも本が沢山ある事を目で確認し、とても満足そうに微笑んだ。
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