氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

267

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 図書室から出た段階で、業者が来たと、ランドールからの報せが入る。


「いつもの応接間に案内しております」

「分かった、今から向かおう。リラ、向こうには事情を話してあるし、これからもここに来るだろうから、顔を出して置く?それともダンに任せて双子達と一緒に別室で待機する?」

「エドワルド様がご迷惑で無ければ、同行したいです」

「迷惑になんてならないよ。では、一緒に行こうか」


 そう言ってエドワルドは、リラの手を取り応接間へと向かい、業者と挨拶をしてから、細かな交渉はダンに任せる。

 業者の人間も、これから得意先になるであろうクルルフォーン家にいた、様々な知識を持つ庭師との会話は楽しそうだ。


「それでは、わたしは一旦帰って今ある品を持参して参ります。一時間程で戻って参りますので、その時にも色々と御指南下さい!これからも、何卒なにとぞ宜しくお願い致します!!」


 そう言って意気揚々と注文を受け付け、一旦帰って行った。


「ダンも相当な人誑しだな」

「公爵の、嬢ちゃんに対する誑しっぷりの方が凄いぞぉ」


 ニヤニヤとダンが言えば、リラが口を挟む。


「ダンもエドワルド様も充分タラシです」

「リラも王家に対してはそうだよ?私に義姉上、父上もリラに夢中だからね」


 ああ、エヴァンス家の者達もだったなと、内心で付け足すと、リラがキョトンとして言った。


「わたくし、誑し込んだ覚えは有りませんよ?」


 リラの返答に、誰もが心の中で突っ込んだ。無自覚天然だからなぁと。

 そんな会話をしながらも、クルルフォーン邸の屋敷の探索を再開する。

 エドワルドの屋敷には応接間が複数有り、貴族の客を案内するサロンも舞踏会や夜会を開く為の広間も複数有るが、応接間は兎も角、滅多に貴族の客を呼ぶ事の無いサロンと、舞踏会や夜会を開く事の無い広間が複数有っても宝の持ち腐れのような物なのだが、エドワルドは他人を呼ぶ気は全く無かったのだ。


「リラが夜会や舞踏会を開きたいと言うのなら、開いても良いけれど、リラは一人で出てはいけないよ?」

「わたくし、舞踏会や夜会に興味は有りませんけれど、エドワルド様と二人切りの舞踏会ならしたいです!それか、内輪だけのが良いです!シアお義姉様やお母様なら、エドワルド様と踊られても、我慢は出来ますが、他の女性は嫌ですもの」


 可愛い事を言い出すリラに、エドワルドは今直ぐ寝室に連れ込みたくなるのを我慢して、頭の中では最強呪文を唱えていた。

(理性を飛ばせばマッドが夜中にやって来る!リラと二人切りの時間はもう少し後だから、その時存分にリラを可愛がれば良い!!式までは何としてでも耐えなければ!!!)
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