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本編

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 リラ達は階下に降りて、サロンに顔を出すと、ジーンが声を掛けてくれる。


「デイルお祖父様と、デュラン伯父上は帰ったよ。全く……相変わらず考えなしと言うか何というか……」

「わたくしも、実の父と兄である事に、時折頭が痛くなります」

「身内じゃ無ければ関わりたく無いかな、僕は」

「まぁまぁ、そう言ってやるな。あれでも敵や怪しい奴等を見付ける事に掛けては、頗る鼻が利くんだ。まぁ、その分本能で動いてる事が多いから、多少始末が悪い時も有るが、そう言う時は、頭を使うよう、言葉で最悪パターンを思い浮かばせてやれば良い。この中で一番懲らしめられるのは、実の娘であるリリーだろう」

「ええ、お義父様。任せて下さいな。折角エドワルド様が、エヴァンス領へと足を運んで下さったと言うのに、リラを怒らせるような事をしたのでしょう?ジーン、あの二人が何を仕出かしたのか、後で詳しく教えて頂戴。晩餐の準備はもう出来ていますか?」


 その言葉に、キーツが答える。


「ええ、若奥様。既に準備は整っております」

「では、食堂に移りましょう。使用人達の分も運んで頂戴それと、エドワルド様の御者をして下さっていた従者の方にも声掛けを」


 リリーの言葉に、キーツは笑顔を見せて、直ぐに応じる。


「承知致しました。では、ご案内致します」


 キーツは侍女達に手で合図を送り、先に行かせると、ゆったりとした足取りで食堂に向かい、その通りに有る部屋を、エドワルドに対して簡潔に説明しながら通り過ぎ、食堂へと辿り着くと、扉の前で、エドワルドの従者と合流する。


「あの……私まで良いのですか?」


 オロオロとエドワルドに聞いてくる従者にエドワルドは声を掛ける。


「心配するな。良いから呼ばれたのだ。ここは貴族と使用人達の垣根が低い。お前も郷に従え」

「はぁ……」


 エドワルドの許可が出たので、一先ずホッとする。

 そうして扉を開ければ、本宅にいた使用人達が出迎え、リラに祝いの言葉と花束を贈り、エドワルドに歓迎の言葉を述べる。


「「「「リラお嬢様、ご婚約おめでとう御座います!!そして、ようこそいらっしゃいました!クルルフォーン公爵!!」」」」


 セイル家の二人に腹を立て、リラのささくれ立った気持ちが、使用人達の祝福により、癒される。

 一人一人がリラに祝福の声を掛け、エドワルドにも祝福の声が向けられる。


「あっ……有難う御座いますわ!!」


 リラは花束を潰さないように抱き締めて、幸せ一杯でエヴァンス家の晩餐を迎えられたのだった。
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