氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

316

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 ジェフは、ジーンやエドワルドが戻ってきてからも、レオンの授業時間の間は王宮でアレクシスの補佐に回り、アレクシスも仕事がやり易く、スムーズになった。

 たまに、嫌味と言う名の、毒舌な小言を貰う事さえ除けばの話だが。

 まぁ、それも些細な事と片付けられる程に、ジェフが周囲を上手く調きょ……教育していくので、周囲のスキルが底上げされて、仕事も捗り、時間も徐々に短縮され、張り合いも出てくるのだ。アレクシスはさすが、エヴァンス家の人間だと感心するばかりだった。


「ジェフが居てくれたお陰で、私もジーン殿も王都に戻って早々、王宮内で泊まり掛けの仕事をせずに済んだよ」

「そもそも、王都の政務官達、特に貴族連中は、貴族だからと仕事をしなさ過ぎるのですよ。仕事は下っ端任せで責任も取らない。それなら最初から居なくても良いでしょうに。貴族だ何だと言うのなら、責任ぐらいは被れと言うものです」


 ジェフは相変わらず辛辣な物言いで、持論を口にする。


「仕事を任せたなら、その責任は仕事をした者にも有りますが、それを任せた者にだって責任は有るし、任せたからと確認もせずに居るなら、その者に何の意味が有ると言うのです。人件費の無駄ですよ。そんな穀潰ごくつぶし、飼うだけ無駄です。平民の使える人間を雇う方が、幾らかマシですね」


「ああ、それは私もそう思う」


 勿論エドワルドも、それには同意する。


「それと、貴族の令嬢の行儀見習いですか?あれも穀潰し以外の何物でもない……。いえ、害虫レベルですよ。仕事はしない、男漁りをする、口だけは動かす……。あれのどこが行儀見習いですか、下らない。行儀見習いだと言うのなら、確りとした行儀を見習えと言いたいですね。この前私も絡まれましたよ。国王陛下の要請で入ったと聞いたのでしょう。妻子がいると言っても煩く纏わり付いて来たので、国王陛下に王宮の品位を下げる侍女は、一旦全て親元に返した方が良いですよ。そんなだから王妃になり替わろう等と思う不届き者が現れて、王妃が危険な目に合わされたりするんですよと、言ってやりましたがね。お陰で王宮内は、随分と風通しがよくなったでしょう?」


 ジェフにそう言われて、侍女の姿が随分と減っていたのには気付いてはいたが、まさか、ジェフに言い寄った強者が居て、ジェフの返り討ちに合った所為だとは思っても居なかったエドワルドは、確かに、煩わしさも無くて過ごし易い環境になっていると、改めて思ったのだった。
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