氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

332

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 父親は、花嫁の手を取り馬車を降りる際に手伝い、花婿に渡す役割が有るので、ジルギリスが馬車に手を差し伸べている。

 そして、馬車の足場を挟んだ反対側に、男兄弟が居れば一人だけ立つ事が決まっているので、その場にはジーンがいる。

 こうしてその場に、ジルギリスやジーン、護衛としてダンもいるのだから、中に、リラがいると解っているのに、その姿が見えなくて、時が止まっているのではないかと、錯覚する程に、エドワルドは焦れてしまう。

 そんな時、中から少し青み掛かった白のサテンドレスの裾が視界に入り、ドレスと揃いのサテンで作られた手袋と、徐々に姿を現し、袖口は広く、ゆったりたっぷりな素肌の透ける総レースが、肩や首元、胸元までを覆い、肩や背中、胸元までのラインが透けて見えるが、レースで覆われている為、とても品が有り、胸とウエスト部分はスッキリしている為、その胸の膨らみとくびれの細さでスタイルの良さを、たっぷりのドレープで覆われたスカート部分はスラリとして後ろに沢山流れている為、とても華やかな印象を与える。

 しかも、ドレスとお揃いのレースで作られたヴェールは顔がちゃんと見えるように上げられ、そのヴェールを髪に留めているのは、エドワルドの贈った髪飾りで、胸元にも同じデザインの首飾りがレースの上を飾っている。

 ゆっくりと慎重に馬車から降りるリラは、身を屈めていた所為で顔は見えなかったが、絨毯の上を踏み、姿勢を正し、正面を向き、エドワルドの姿を捉えたその時。

 リラが思わず嬉しそうに微笑んだ。

 そして、それを目撃した貴族連中は全員、思考回路が破壊され、何も考えられない状態に陥ったが、それを上回る、更に強烈な追撃により、その場にいた貴族連中全員が大きな打撃と敗北を脳裏に叩き付けられ、この結婚式の話題は自ら口をつぐみ、誰にも漏らさなかったと言う。

 そう、リラの可愛すぎる本質の言葉によって。


「すすすすっ、済みません、エドワルド様!!わたくし、頑張って、素顔を晒さないようにと注意をしていたのですが!エドワルド様のお顔を見てしまえば、嬉しくて、幸せ過ぎて思わず微笑んでしまいましたぁ~っ!!!だって、本当に嬉しくて、幸せでっ……!!無理です!わたくし、今日は、絶対に無表情なんて装おっていられません!口元が勝手にニヤ付いてしまいます!エドワルド様の恥になってしまいそうですが、今日だけはっ、許して下さい~っ!!!」


 泣きそうな顔で訴えて来るリラが、あまりにも可愛過ぎて、この姿のままで今直ぐ連れ去り、誰にも邪魔されない場所に閉じ籠って、思う存分この身体を貪り尽くしたいと言う思考と、一刻も早く式を終わらせ、自分だけの物だと言う証と共に、散々この身体を貪り尽くせと言う思考で悩殺されそうな思考を、式が終わるまでは、マッドがあの姿でやって来るという最強呪文で、何とか、本当に何とかギリッギリで自制を繋ぎ止め、リラに触れるか触れないか、少し悩んだ挙げ句に軽くだけ抱き締め、リラの耳元に唇を寄せた。
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