氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 エヴァンス領の本宅に辿り着いたエヴァンス勢は、早々にバラけて、サイナスが残った傭兵達とクルルフォーン家の使用人達を連れて、エヴァンス家の直ぐ近くに建つ、別館のような見た目の使用人達が使う寮みたいな物だと言われる建物に案内する。


「元々、部屋数自体をかなり多目に建造されている使用人達専用の建物ですので、部屋の広さはベッドに小机に椅子、衣類をしまう家具ぐらいしかない、一般人が使う宿の部屋と同じような広さの一室ですが、男女別で共有の浴場やトイレと、専属の料理人がいる食堂も有るので、家を持たない独身者や新米は、格安のこちらを利用する事が多いですね。傭兵の皆様には、今回無償で一人一部屋用意させて頂きますし、クルルフォーン家の使用人達は元々住み込みの仕事と言う事で、こちらも無償で使用出来るよう取り計らっています。ただし、街の宿に泊まると言う場合は、宿屋に正規の料金を支払って頂きますので、ご了承下さい」


 因みに、次回からの道中往復警護を請け合って貰える場合の一泊料金を、使用人と同額格安料金で提示し、クルルフォーン家とエヴァンス家の依頼に限り使用出来る事、ここに滞在中は、街で仕事の依頼を受ける事も可能だと教える。

 ただし、片道契約の場合は、宿泊を街にして頂く他、少々契約は変わるが、街で仕事をする分には問題無いとの説明もする。

 因みに食事は別料金だが、いつでも格安で食べられるようにシフトを組まれている為、休日も、食いっぱぐれると言う事にはならないし、今回は祝い事が有るのでそちらも無償で提供されると言われて喜ばない者等いない。

 街で暴れたり、住民に迷惑を掛けたりした場合は、確実に次回以降の依頼は出さないので、そこの所は宜しくと言い置いて、建物の中に入り、一人一人に部屋の鍵を渡し、本日はこれにてゆっくりとお寛ぎ下さいと言い、傭兵の皆様は、細かい事はマッドさんから聞いて下さいと、傭兵達に付いてはマッドに任せる。

 クルルフォーン家の使用人達も、今日は慣れない旅の疲れも有るだろうからと、これで解散と言う形になり、ランドールだけは執事見習いと言う事で、本宅へと連れて行かれる事になった。


「貴方も、今日明日はゆっくりと休んで、疲れを取って置いて下さいね?明日は、エドワルド様の希望も有り、ここでの結婚式を挙げますが、その次の日からは、他の執事達にも協力して頂きながら、ここでしか出来ない本格的な教育もしますからね」


 サイナスは、本宅の空きの使用人部屋にランドール通し、いつも通りの口調で言ったのだが、ランドールは何故か寒気が走り、ここでしか出来ない事って何だ?!とビビっていた。
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