氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

21

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 そうして別室でランドールは普通の服装に着替えると、疲れがどっと押し寄せる。

 やっとあの苦しいドレスから解放されて、嬉しい半面明日もまた着なければいけないのかと思うと、泣きたくなった。


「……そう言えば、夕食食べ損なった……」


 一応夜会会場で、美味しそうな食事が沢山出ていたのだが、食べて良いのかよく分からない上、どのタイミングで食べに行っても良いのか分からないし、食事にもマナーが有るから、失態を晒せないと思っていたランドールは、迂闊に近付けなかったのだ。

 ドレスで締められていた時は、気を張っていた所為か、それ程空腹を感じていなかったが、昼の食事の量も大して食べられなかった為、何かを口にしたいのは山々だが、そうも言っていられない。

 化粧を落として、サイナス達が待つ部屋へと入った瞬間、美味しそうな匂いが、部屋に満ちていた。


「こっ……これは……」

「お前、夜会会場でも全然食べて無かったろ。僕もお前に付き合って食べてないから夜食として持ってきた。ちゃんと食べないと持たないから食え。ただし満腹になるまで食うなよ?反省会中に寝たら、マッドさんに起こして貰うからな」

「あらぁ~ん♪じゃあ、眠れる王子様には、あたしからの熱~いキッスをプレゼントしてあ・げ・る♥」

「それでも起きなければ、ひん剥くのも有りです」

「じゃあじゃあ、貞操を奪ってあげるわぁ~♪」


 マッドの言葉にギョッとするランドール。


「ちょっ、勘弁して下さい!!」

「反省会中に、寝なきゃ良いだけだろ」

「あたしからしたら、寝てくれた方が役得だけどぉ~♪」

「すっ……睡眠薬とか、入ってませんよね?」

「僕達も食べるのに、入れてどうするよ。そもそもお前にだけ効く睡眠薬が有ったとしても、反省会中に寝られて困るの僕だから。明日の朝に繰り上げたら、それこそ時間的にも無駄だから」


 そう言ってサイナスは食事に手を付け、マッドも嬉しそうに手を出す。


「ああ、マッドさんはお酒も有りますよ。今日付き合って貰うお礼です」

「いやん♥サイナスちゃん、気が利くぅ~♪」

「好きなだけ飲んで下さい。マッドさんの強さは知ってるので。これも父さんからの配慮です」

「キーツさんってば、相変わらず太っ腹ぁ♪」

「僕も多少は出すと言ったら、子供にはまだ早いと言われてしまいました。だからお前は自分が出すなんて考えずに、先ずは反省と答え合わせからだ」

「はっ、はいっ!」


 サイナスは書類に直された今日の出来事を、ランドールに手渡した。
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