468 / 805
後日談
マッドの日常と春の予感 1
しおりを挟む
マッドの仕事は傭兵では有るが、傭兵はこの国では、力仕事を任せられる何でも屋だと言って良い。因みに最近の仕事は、夜の商売をする娼婦の店の用心棒なので、昼間は割りと自由な職場だ。
そしてここは昔からよく雇って貰ってる一流店の一つで、唯一マッドの裏の顔、女性であると言う事が女店主や娼婦達には知られている店だった。
用心棒でも店の商品である女性達に手を出されて貰っては困る。勿論、金を払うと言うのなら別だが。その稼業を楯にされちゃあ困るんだよと言われて、マッドは女店主に自分の事情を話したのだ。
そして、最初は半信半疑だった女店主も、マッドを知る内に気に入り、他の娼婦の女性達とも仲良くするようになったのだ。
それも、エヴァンス領で本性を晒し、リラやエヴァンス家の人達、エヴァンス領の領民達に受け入れられた事が、切っ掛けでも有ったのだが。
お陰でマッドは、ここで娼婦の女性達と、女性の会話が出来て楽しい。
勿論、営業時間は男の用心棒として嘗められないように、女言葉を封印してるが、営業後の男の客が帰った朝や、店を開ける営業前に、女店主や娼婦達と、女性だけのお喋りを楽しむ。
別に男の用心棒に聞かれても問題は無いし、それをネタに脅そうとしても、大抵マッドの方が強いし、余所で喋ろうとしても、あの強い男が?単に悔し紛れだろうと受け流されるのがオチだ。
しかもマッドは凄腕として知られる実力者で、喩えそれが本当だとしても、腕前に変わりは無いから、敵に回そうとする者は、ほぼいない。
実際、それを流した奴が過去にいたのだが、傭兵仲間に黙殺された上、所属先から放り出され、王都での仕事が取れなくなり、ディーランから去っている。
マッドの裏の顔を喋っていたら、逆に自分が、妬みや負け惜しみで流した噂だとされた挙げ句、王都の娼館等からは悉く出禁にされ、更に、マッドの後ろには、上位貴族の後ろ楯が有るって知らないのか。可哀想に……。とまで言われたのだから、去りたくもなるだろう。
そしてマッドの本性は、極一部に知る人ぞ知る、暗黙の了解、触らぬ神に祟り無し、と言った具合で放置されている。
だからこそ、マッドの所に同属の彼女達が接触出来、マッドの、『女性達の敵を、貪り食らって後悔させる裏仕事』にも参加するお誘いが掛かったと言う訳だ。
そして、この店の女店主もその話をマッドから聞いた時、女達の敵はあたしらの敵。店の道具で良ければ、いつでも持って行って使いな。とのお言葉を貰っていたのだった。
そしてここは昔からよく雇って貰ってる一流店の一つで、唯一マッドの裏の顔、女性であると言う事が女店主や娼婦達には知られている店だった。
用心棒でも店の商品である女性達に手を出されて貰っては困る。勿論、金を払うと言うのなら別だが。その稼業を楯にされちゃあ困るんだよと言われて、マッドは女店主に自分の事情を話したのだ。
そして、最初は半信半疑だった女店主も、マッドを知る内に気に入り、他の娼婦の女性達とも仲良くするようになったのだ。
それも、エヴァンス領で本性を晒し、リラやエヴァンス家の人達、エヴァンス領の領民達に受け入れられた事が、切っ掛けでも有ったのだが。
お陰でマッドは、ここで娼婦の女性達と、女性の会話が出来て楽しい。
勿論、営業時間は男の用心棒として嘗められないように、女言葉を封印してるが、営業後の男の客が帰った朝や、店を開ける営業前に、女店主や娼婦達と、女性だけのお喋りを楽しむ。
別に男の用心棒に聞かれても問題は無いし、それをネタに脅そうとしても、大抵マッドの方が強いし、余所で喋ろうとしても、あの強い男が?単に悔し紛れだろうと受け流されるのがオチだ。
しかもマッドは凄腕として知られる実力者で、喩えそれが本当だとしても、腕前に変わりは無いから、敵に回そうとする者は、ほぼいない。
実際、それを流した奴が過去にいたのだが、傭兵仲間に黙殺された上、所属先から放り出され、王都での仕事が取れなくなり、ディーランから去っている。
マッドの裏の顔を喋っていたら、逆に自分が、妬みや負け惜しみで流した噂だとされた挙げ句、王都の娼館等からは悉く出禁にされ、更に、マッドの後ろには、上位貴族の後ろ楯が有るって知らないのか。可哀想に……。とまで言われたのだから、去りたくもなるだろう。
そしてマッドの本性は、極一部に知る人ぞ知る、暗黙の了解、触らぬ神に祟り無し、と言った具合で放置されている。
だからこそ、マッドの所に同属の彼女達が接触出来、マッドの、『女性達の敵を、貪り食らって後悔させる裏仕事』にも参加するお誘いが掛かったと言う訳だ。
そして、この店の女店主もその話をマッドから聞いた時、女達の敵はあたしらの敵。店の道具で良ければ、いつでも持って行って使いな。とのお言葉を貰っていたのだった。
23
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる