氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 ダンの口付けに、シルビアは必死で応え、舌を絡め、擦れさせる。

 久々のダンとの触れ合いに、心は際限無く高鳴り、身体が疼いて仕方無い。

 そんなシルビアが、ダンと初めて出会ったのは、まだ幼く、小さなリラの護衛をしてた頃だった。

 兄のジーンが学院に入り、落ち込むリラを、街外れに位置する花畑へと連れ出し、そこでお昼を取り、その周辺をリラと共に散歩していた時、嫌な気配を感じて、シルビアが足を止めると、ならず者のような男達が十数人、いきなり木の影から飛び出して来て、周りを囲むように、ジリジリと迫って来たので、リラを背後に庇い、一緒に同行していたもう一人の女護衛と侍女が、リラの背後にいたので、リラを任せて敵を切り込むか、それともリラを守りながら敵を相手になるか、シルビアは思案していた。

 幸い、相手のならず者達は、シルビアよりも腕は劣るようだ。

 しかし、もう一人の女護衛では、このならず者達には勝てそうに無く、シルビアの背後には、小さなリラがいるので、敵に切り込めば、リラを標的にされ兼ねないし、このまま攻撃を受け止めるにしても、リラの安全第一を考えるなら……そう思った時、シルビアは漸くもう一人いる事に気付き、全身に氷水を、勢いよくっ掛けられた気分になった。

 目立つ筈の容姿をしているのに、今まで全く感知出来なかった、その男の存在に。

(!!!勝てないっっ……!!)

 心の中で絶叫し、リラだけでも、どうにか逃がせれないかと思ったその瞬間、その男、ダンが口を開いた。


「ゲスが……」


 シルビアにその声は届かなかったが、次の瞬間、ダンのした行動に、シルビアは、大いに驚かされる羽目になる。
 
 何故なら、ダンの標的は自分達では無く、ならず者である男達で、シルビアは見ていたと言うのに、ダンの動きが捉えら切れなかったからだ。


「てめぇ等の相手は、この俺だぁ!!」


 ダンが声を上げたかと思うと、男達は、次々に地面へと叩き付けられ、ダンを認識した者達ですら、手足の出せない状態で、ダンの一撃を食らい、昏倒していた。

 しかもダンは、血を一滴も流していなかった。

 それもその筈。ダンは剣を、鞘付きのまま振るっていたのだ。

 そして、ならず者達全員を伸した後で、ダンは突如身体をぐらつかせ、倒れる。


「えっ……ちょっと?!」

「腹……減った……」


 空腹で目を回したダンに、シルビアの後ろにいたリラが近付く。


「おっ……お嬢様?!」

「御者、呼んで。リラ、お家、連れて帰る」

「だだだだっ……駄目です!そんな人は置いて帰りましょう!」


 もう一人の女護衛が、慌ててリラを止めようとするが、リラはダンにしがみ付き、離れない。


「いやぁ!一緒、帰るぅ!!」


 リラの言葉に、誰も逆らう事は出来ず、シルビアはもう一人の女護衛に、御者を呼びに行かせ、ならず者達は縛り上げて一旦放置、御者と共にダンを馬車内へと運び、そのままエヴァンス家の本宅へと連れ帰ったのだ。

 あの時、リラが連れ帰ると言わなければ、ダンとは二度と会えなかったかも知れない。

 異性を心底愛する事も、女として、心底惚れた男に抱かれる悦びを知る事も無く、一生を過ごしたかも知れないと思うと、シルビアはリラに感謝する日々だった。
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