氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
559 / 805
後日談

2

しおりを挟む
 ジオラルドの妻で有る、アリアが、ミゲールを見て嬉しそうに言う。


「あら、この子、リリーちゃんの面影が有るわ~♪でも、瞳の色はエドワルド様と同じ。エドワルド様の目の色と眼差しは、先々代の王妃で有る、セレーヌ様そっくりですものね」

「ああ、そう言えば一度だけ母が物心付くか付かないかの時分に、その目と眼差しがあの方そっくりで、気味が悪いとか何とか言っていたような……」

「……えっ?」

「……まさか?」

「ですが、あの馬鹿女は、セレーヌ様に対しては、従順な態度を見せていた筈では?」


 アリア、ジオラルド、ジルギリスの順で声を出すのだが、ハンナがセレーヌに対して、反感を持ってるような事は、一度も無く、王妃教育でも、どれだけセレーヌに辛辣な事を言われても、セレーヌ様、と慕っている様子で接していたと、エヴァンス家の調査でも、おかしな部分は出て来なかったのだが。

 ……もしかして、誰にも気付かせては居なかったが、内心は、セレーヌ様を嫌っていたって類いの物か?

 そんな答えがエヴァンス家の面々の頭に浮かんだ。

 そうは言っても、そもそもセレーヌは、マーウィンの実母で、マーウィンは父親に似ていたとは言え、セレーヌの血を受け継いでるのだから、マーウィンの子供が、その祖母で有るセレーヌに似ても、何ら不思議では無い。

 それなのに、高が目元と目の色が似ていると言うだけで、セレーヌでは無い自分の息子を大っぴらに嫌悪するなんて、馬鹿なのか?

 最初からその可能性が有る事自体、分かっている筈だし、自ら好き好んで王妃になったのはお前だろうが。

 それに、どれ程義母を嫌っていようが、息子と祖母は全くの別人。

 喩え、リラがハンナ似の子供を産んだとしても、自分の子供として、リラもエドワルドも確り育てるつもりだし、平等に育てるに決まってる。

 自ら望んだ相手との子供で、自分がお腹を痛めて産む子になるのだ。それを嫌悪する事自体がおかしいだろうに。

 それに、セレーヌがハンナに辛辣だったのは、王妃になると言う事の心構えが全く出来て居なかったからだ。

 ハンナに限らず、候補となった令嬢に王妃教育を施す役目は彼女だったから、リリーも会わされたが、リリーはセレーヌに会った時に完璧な礼儀作法を見せ気に入られたのだが、リリーはジルギリスが好きで、王妃になる気は全く無いと言い切っていたのだ。

 その為、大いに残念がられたが、気に入ったからと、無理矢理話を進める訳でも無く、ちゃんと相手の話を聞いてくれる人だった。


「下らない……」


 リリーが嫌悪を込めた声で言い切ったのは、当然と言えよう。  
しおりを挟む
感想 2,440

あなたにおすすめの小説

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...