氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 男の顔色が、どんどん悪くなっていく。

 腕の良いマッドの兄弟子が、自分達の探してるダンで、そのダンは、貴族に仕えて居るだけで無く、貴族の奥方と姉妹のように育った女性と結婚し、その女性を団員の女が貶していたと言うのだから、顔色が悪くなるのは当然だろう。

 貴族からすれば、使用人達は自分の部下や持ち物と言った考えが多いが、それでもその貴族の持ち物を貶したなら、良い気はしない。

 ましてや傭兵は、土地を持たない者達だ。定住するには、その土地の貴族の許しが必要だし、旅を続けるにしても、通行手形なる物が必要だが、その手形を取り上げる事が出来るのも貴族だし、通行手形が無い者は、罪人として処罰を食らう事も有るのだ。

 下位貴族の不当な取り上げなら未だしも、上位貴族のなんて、太刀打ち出来ない。

 出来るとすれば、その上位貴族よりも上位に当たる者達だろうが、そもそも、上位貴族とお近付きになんて、普通の傭兵達に出来る事では無い。


「何て事をやらかしてんだ?!あいつ……!!」

「そう言いたくなるのは分かるがなぁ、そもそも身内だからって、あんな女を放置してた事自体が迂闊だろ。今回の事に関しちゃあ、デートを邪魔された上、愛しの嫁さんに暴言吐かれて、ダンは相当怒ってたぞ」


 マッドの言葉で、相手の顔色は、益々悪くなるばかり。


「だっ……ダンに会わせて貰う事って出来ねぇか?」

「無理だろうなぁ。ダンは休日でも、屋敷の仕事をしたがるから、連れ出すのが出来るのは、あの女が貶した嫁さんぐらいで、育成に力入れてっから、時間なんて取れねぇぞ」


 育成に関しては、護衛達に限らず庭や子供達も含んでの事だが、そんな事まで態々男に教える気は無い。


「俺だって今日は、嫁さんとの休日デートを楽しむつもりだったってのに、あの馬鹿女がダンに喧嘩を売りやがるから、俺まで巻き込まれてんだろ。団長の所に連れてけや。団長にもだが、あの馬鹿女に一言だろうが文句言ってやらなきゃ、こちとら収まんねぇんだよ」


 勿論マッドは、あの思考回路がお花畑な馬鹿女に報復出来るチャンスと、自ら巻き込まれる気でここに居る。

 そうで無ければ、出掛けなければ良いと言うだけだからだ。


「それともここで、お前等傭兵団が、どこのお貴族様を相手に喧嘩売ったか教えてやろうか?ダンは言わなかったようだが俺ぁ主人から許可を貰ってきたし、ここいらの奴等は、俺が誰の後ろ楯を受けてんのか知ってんぞ」


 男が思わず周囲を見回すと、明らかに周囲が関わりたく無いとばかりに視線を外した。
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