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後日談

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「貴女の事に対して、面倒だとは思いませんよ。妻になる貴女に降り掛かる火の粉は、夫となる私が振り払うのは当然の事だと思っていますから。貴女に害為す者は徹底的に駆除するつもりなので、何事も一人で解決しようとしてはいけませんよ?時間になれば迎えに来ます。それまではゆっくりと寛いでいて下さい」


 そう言ってジーンはその場から立ち去るが、晩餐の時間になると宣言通りに、ジーンがアシュリーの部屋まで迎えに来て、アシュリーは面映ゆい気持ちでジーンのエスコートを受けながら、食堂へと向かう。

 食堂の扉を開けると、エヴァンス家の使用人達が一同に集まり、執事が代表としてアシュリーに歓迎の言葉と花束をプレゼントしてくれる。


「ようこそお越し下さいました。我々使用人一同、心より歓迎致します」


 花束は豪華で美しく、食事の際はアシュリーの席の近くを華やかに楽しませていた。


「こんなに良くして頂いて大丈夫でしょうか……。わたくし、どこにでも居るような、本好きと言うだけの普通の娘ですのに……」

「普通の令嬢は、財務や領地経営等の仕事なんて出来ませんよ。私としては、茶会や夜会にご執心の令嬢よりも、アシュリー嬢のような本を好む女性の方が好きですけどね」


 ジーンは極々自然に好意を口にするが、アシュリーとしては軽く聞き流せるような物では無い。

 アシュリーは真っ赤な顔で、ジーンに抗議する。


「じっ……ジーン様は、お口がお上手過ぎですわ!わたくしのような田舎者には、王都流の挨拶やお世辞は刺激が強過ぎます!自惚れてしまいそうになるのでお止め下さい~!」

「誤解の無いように言って置きますが、異性相手にこんな事を言うのは、アシュリー嬢が初めてですよ。私は元々、王都の令嬢達には冷たい対応をしていますからね。いくら仲が悪いように見せていたからだとしても、私の愛する妹を悪し様に言う女達に、優しくしてやる義理は無いですから。それを差し引いたとしても、着飾る事しか脳の無い、面白味の無い女性の相手は疲れますからね。誰彼構わず粉を掛けようとする女性等は論外です。私は誠実な女性が好きですから、多忙だからと他の男を誑かすような女性も論外です。私が異性として愛を囁く相手はただ一人、私の妻となる令嬢あなただけですよ。私は貴女以外の他の異性を、口説く気は全く有りませんから、そこの所はちゃんと理解しておいて下さいね」


 ジーンはアシュリーに他の異性にも言っていると勘違いされないように、そこはキチンと訂正しておいた。
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