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後日談

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 後日、お茶会が再び開催され、アシュリーは初めてマッドと言う存在を目にした。


「やぁ~ん♪リラちゃんもシアちゃんも、お久し振りぃ~♪二人共、今日も元気そうで何よりだわぁ♪」


 そこにいたのは、アナスタシアとリラに手を振り近寄ってくる、マッチョなドレスのおネエ様だ。

(特殊なお方……。確かに、特殊なお方です!)

 アシュリーの頭に浮かんだのは、アナスタシアが少々特殊なお方と言った言葉と、自分のいた世界が狭い物だったのだと思い知りましたと言った言葉で、その言葉を思い出したアシュリーは、一人うんうんと内心頷き、その言葉に納得した。

 そしてアシュリーはマッドへと挨拶をする。

 勿論、悪意の無い笑顔でだ。


「初めまして、わたくし、アシュリーと申します。アーシュとお呼び下さいな。シア様やリラ様同様、仲良くして頂けると嬉しく思います」

「あらぁ、ご丁寧に有難う!彼女があの若様に選ばれた、エヴァンス家の花嫁ちゃんね?会えて嬉しいわぁ♪あたしはマッド、宜しくねぇ~♪」


 マッドとしても、自分の容貌に嫌悪を見せず、仲良くしたいと言う相手は貴重な存在だ。

 それがエヴァンス家の花嫁となるのだから、今まで通り、エヴァンス家内でも偽らずにいられて嬉しい限りだ。

 ただ、アシュリーとしては『あの若様』と言われて、思わず気になってしまったようだ。


「その……マッド様も、ジーン様との面識が?」


(ジーン様は、とても素敵な方だから、女性に好意を持たれるのは当然だろうけど、身近な人だとさすがに落ち込んでしまいそうです……)

 そんな事をアシュリーが思っていると、マッドが笑顔で教えてくれた。


「あたしはリラちゃんの所にいる同郷の庭師と幼馴染みだから、面識も有るし、お仕事を貰う事も有るけれど、若様とはリラちゃんを守る戦友のようなもので、若様はタイプじゃないから安心してねぇ♪あたしのこの姿を見ても、仲良くしたいなんて言ってくれる人は大歓迎よ!大丈夫だとは思うけど、言い寄って来るしつこい男が居たら、あたしに言ってくれればお仕置きしてあげるからねぇ♪」


 アーシュちゃんにしつこく言い寄るなら、あたしが逆に言い寄って、好きでもない相手に言い寄られる不快さを、存分に体験させてやるんだからぁ!と言うマッドに、冗談だと受け止めたのか、アシュリーは機会が有ればお願いしますと、クスクスと笑顔で応じる。

(さぁ~っすが若様やエヴァンス家の使用人達に選ばれるだけ有るわぁ。一応ダンちゃん経由で事情は聞いてるけど、こ~んな可愛い娘の本質に気付かず、婚約破棄した男は馬鹿ねぇ。勿論若様から、キッツい仕返しと報復を食らうでしょうが、自業自得よね~。彼女に非が有った訳でも無いのに、元凶の馬鹿家族と一緒に非難したんだから。あ~、あたしも断罪現場見たかったけど、目立っちゃうから無理だしぃ、後で潜入してた人達に、じっくり詳しく聞いちゃおう~っと♪)

 そしてこの日は本の話だけで無く、マッドの体験談や初めて聴く他国の話に、目を輝かせたアシュリーにとって、楽しいお茶会となったのは言うまでもない。
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