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後日談
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王宮に着き、国王に挨拶する為の長蛇の列の最後尾に案内されて、サラが騒ぎ出した為、マディソンは何とか宥めようとするが、サラは聞く耳を持たず、騒いだ事でだろう、王宮騎士に捕らわれ、後ろ手で縛られ連行され、明らかにレベルの違う華やかしい集団の前へと連れて来られて怖じ気付いていると、その中に見知った顔を見付け出す。
青みの薄い青銀色の髪を持つ美貌の男性の横に居る、元婚約者のアシュリーだ。
前に見た時から、一月しか経っていないと言うのに、以前よりも更に綺麗になっているように思えてならない。
そんなアシュリーを、切望するようにジッとマディソンが見ていたからか、その視線に気付いたアシュリーがマディソンを見返す。
何の感情も乗せない瞳と表情で。
そして、マディソンの視線にジーンも直ぐに気付き、サラがエドワルドに気を取られている隙に、然り気無くアシュリーを抱き寄せ、アシュリーの気を引くと、優しげな笑顔でアシュリーに囁く。
「駄目ですよアーシュ、他の男に気を取られては。いくら元とは言え、今のアーシュは私の婚約者です。あんな見る目の無い男よりも、私を見詰めていなさい。でないと私が妬きますよ?」
ジーンの言葉にアシュリーは一瞬だけキョトンとするも、とても嬉しそうに、幸せそうな満面の笑顔で頷き返事をする。
「はい」
何の曇りも憂いも無い、輝くような笑顔を見せるアシュリーに、マディソンは深い絶望を味わうが、それは数ヶ月前にマディソンがアシュリーに与えた物で、その時に比べれば自業自得としか言えない事だと頭では解っているので、尚更その事実が重く伸し掛かる。
マディソンにとって、アシュリーはもう、手の届かない遠い存在なのだと、思い知った瞬間だっただろう。
そしてサラが、わたしは国王陛下を味方に付けてやるんだからぁっっ!!!とエドワルドに向かって怒鳴り散らしたその時、丁度広間に入って来ていた国王夫妻の元にも、その声が届いていたのだった。
「ねぇ、アナ。何故私が私の可愛い弟を敵に回してまで、親しい所か顔も見た事の無い、赤の他人の味方に付かなければならないのだろうか?しかもあの恐ろしいジーン殿すらを敵に回すと理解していてだ。そもそも、私情を抜きにした所で、何の落ち度も無い正統な血筋の姉から、婚約者だけでなく、血筋ですら無い家の家名や爵位を乗っ取る妹のどこに庇う理由が有ると思う?」
いつもと同じ表情を見せつつ、小声でアナスタシアに問うアレクシスの声は、低く怒気を孕んでいる。
そんなアレクシスに、アナスタシアはいつものように笑顔を振り撒きながら、アレクシスにだけ聴こえる小声で返答する。
「庇う理由は全く有りませんわ、アレク様。存分に、彼女の心を折って差し上げて下さいな」
そう言うアナスタシアの声にも、僅かながら怒気が含まれていた。
青みの薄い青銀色の髪を持つ美貌の男性の横に居る、元婚約者のアシュリーだ。
前に見た時から、一月しか経っていないと言うのに、以前よりも更に綺麗になっているように思えてならない。
そんなアシュリーを、切望するようにジッとマディソンが見ていたからか、その視線に気付いたアシュリーがマディソンを見返す。
何の感情も乗せない瞳と表情で。
そして、マディソンの視線にジーンも直ぐに気付き、サラがエドワルドに気を取られている隙に、然り気無くアシュリーを抱き寄せ、アシュリーの気を引くと、優しげな笑顔でアシュリーに囁く。
「駄目ですよアーシュ、他の男に気を取られては。いくら元とは言え、今のアーシュは私の婚約者です。あんな見る目の無い男よりも、私を見詰めていなさい。でないと私が妬きますよ?」
ジーンの言葉にアシュリーは一瞬だけキョトンとするも、とても嬉しそうに、幸せそうな満面の笑顔で頷き返事をする。
「はい」
何の曇りも憂いも無い、輝くような笑顔を見せるアシュリーに、マディソンは深い絶望を味わうが、それは数ヶ月前にマディソンがアシュリーに与えた物で、その時に比べれば自業自得としか言えない事だと頭では解っているので、尚更その事実が重く伸し掛かる。
マディソンにとって、アシュリーはもう、手の届かない遠い存在なのだと、思い知った瞬間だっただろう。
そしてサラが、わたしは国王陛下を味方に付けてやるんだからぁっっ!!!とエドワルドに向かって怒鳴り散らしたその時、丁度広間に入って来ていた国王夫妻の元にも、その声が届いていたのだった。
「ねぇ、アナ。何故私が私の可愛い弟を敵に回してまで、親しい所か顔も見た事の無い、赤の他人の味方に付かなければならないのだろうか?しかもあの恐ろしいジーン殿すらを敵に回すと理解していてだ。そもそも、私情を抜きにした所で、何の落ち度も無い正統な血筋の姉から、婚約者だけでなく、血筋ですら無い家の家名や爵位を乗っ取る妹のどこに庇う理由が有ると思う?」
いつもと同じ表情を見せつつ、小声でアナスタシアに問うアレクシスの声は、低く怒気を孕んでいる。
そんなアレクシスに、アナスタシアはいつものように笑顔を振り撒きながら、アレクシスにだけ聴こえる小声で返答する。
「庇う理由は全く有りませんわ、アレク様。存分に、彼女の心を折って差し上げて下さいな」
そう言うアナスタシアの声にも、僅かながら怒気が含まれていた。
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