氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
675 / 806
後日談

6

しおりを挟む
「後悔なんてしない。飽きるだなんて、とんでもない。寧ろ、アーシュを知る度に、心は強く惹かれるし、ああやってアーシュが私だけの者だと示さない方が、絶対に後悔する。あの男はアーシュを女として見ていなかったかも知れないけれど、私は違う。アーシュを存分に味わいたいし、私と言う男の想いをその身に嫌と言う程教え込みたいと心底思っているよ。けれど、アーシュは婚前交渉を好まないだろうから、我慢しているだけだ。アーシュが望むなら、いつだって大歓迎だよ」


 ニッコリと微笑む、色気駄々漏れなジーンの発言を前に、アシュリーは全身を真っ赤に染めるしかない。

(ううううっ、嬉しいですが、とても恥ずかしいですっ!!たたたたっ、確かにわたくし、婚前交渉は好みませんが、がっ、我慢させているとは思っていませんでした!)


「まぁだからと言って、無理強いする気は無いよ。今年中に式を挙げるつもりだし、それまでに覚悟をしてくれれば良いだけだから。その代わり、婚姻後は我慢なんてしないし、もっと深くのめり込むだろうから、そんな事は言えなくなると思うけどね?」

「かっ……格好良すぎですわジーン様。そもそもわたくし、ジーン様と前の婚約者とでは、比べ物にならない程ジーン様の方が好きですし、あんなのと一緒になんて出来ません。ジーン様はこれまで、わたくしの為にと色々として下さいました。その……婚前交渉は好みませんが、すっ、少しずつなら進んでいきたい、です……」


 全身真っ赤なままで、ジーンが贈ったジーンの瞳と同じ色の宝石が付いた首飾りを右手でギュッと握り締め、必死に何とか言葉を紡ぐアシュリーの姿が可愛くない訳が無い。

 きっと、自制心の強いジーン以外の男がアシュリーのこの姿を見れば、押し倒していたに違いない程の可愛さだ。

 まぁ、ジーンが他の男とアシュリーを二人切りには絶対にさせないだろうが。

(本当、無自覚って怖いな。自制心を試されてる気分になるよ。でも、だからこそ、この先が楽しみになる。こんなアーシュを詰まらないだなんて、よく言えたものだ。アーシュで詰まらないなら、他の女なんてもっと詰まらないだろうに。煽られ続けるこちらの身にもなって欲しい所だけど、まぁそれも、婚約期間の今だからと割り切って楽しもう。どうせエヴァンス家の鉄壁を破れる者なんて居やしないし、逃げ出す事も不可能なんだから)


「大丈夫。二人の事だから、アーシュのペースに合わせて、少しずつ進んで行くよ」


 ジーンはアシュリーの手を取り口付けを落とすと、丁度エヴァンス邸へと到着し、そのまま家の中へとエスコートする。

 お披露目も済んだ事だし、アシュリーとの幸せな結婚生活を過ごす為にも、現時点でアシュリーの害になりそうな連中がどのように動くか、動き出した場合はどのように嵌めるか、そしてどんな制裁を下すかを、ジーンはアシュリーが寝静まった頃に、エヴァンス家の使用人達と、とことん話し合うのだった。
しおりを挟む
感想 2,443

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...