氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 サリサが何も知らないシルビアに、幼少時代の過去話を交えて意味合いを説明する。


「クルセイ領域のとある国で、幼少の頃から持つ自分の分身とも言える懐刀を、求婚する未来の花嫁に、忠誠を尽くすと言った意味合いで贈る風習があるらしいですよ~?まぁ、一般人じゃなくて、その国の王族とか騎士とか、剣を扱う人の風習らしいですけど。それをクルセイから来た旅人が、子供の頃に教えてくれたとかで、その風習に憧れたダン兄とマッドちゃんは、懐刀は手に入らないから、代用として短剣を買って貰ったらしいです。その話を聞いたお父さん達も、命を守る物だからって質の良い短剣を買い与えて、身を守る最終的な武器として、特訓とかしてたそうですよ~」

「当然だろ。持ち主が使えねぇ武器なんざ武器じゃねぇ、そんなもん、ただの飾りで意味がねぇだろ」

「そうよぉ~。自分の分身と言える程馴染んだ武器を渡すのが良いんじゃない。それに、向こうの国じゃあ胸元に隠す物だから、自分の心に例える物で、言葉で誓うのと、懐刀に誓うのとじゃあ、信頼に雲泥の差が出るそうなの。まぁ、懐刀を複数持つ人もいるらしいけど、自分の分身と呼べる懐刀は一つだけ。だからそれを預けるって事は、命や心を預けられる相手って事になるのよ。だから、求婚相手に渡すってのは、この先何が有っても、その人一人しか妻にしないって意思表示でも有るんだからぁ!」


 マッドがそう熱弁すると、サリサが茶々を入れる。


「マッドちゃんが言うと、何か嘘臭~く聞こえるよねぇ」

「ちょっ、失礼よサリー!!」


 そしてシルビアはと言うと、顔を真っ赤に染めて、潤んだ瞳でダンに飛び付いた。


「ダン、大好きです、愛してます~!!」

「ししぃもぉ~!パパ、らいちゅき~♪」


 そう言ってダンの足元に、エキゾチックな見た目の愛娘がダンの足にしがみ付き、頭をグリグリ擦り付ける。


「有難うよ」


 そう言ってダンはシルビアを抱き止めたまま、少しかがんでシシルの頭を撫でる。

 因みにシシルは言葉を喋り出した頃、ダンを名前で呼んでいたが、シルビアがパパだと必死に教え直したようだ。

 ダンはちっとも気にして無かったのだが、シルビアがパパとママって呼ばれたいんですと言ったので、シルビアの好きにさせていたのだ。

 リラは何かを思い出したのか、とても嬉しそうにダンを見て微笑んでいる。


「リラ?どうかしたのか?」

「いえ。シルビーが持ってるダンの短剣に、昔ダンがわたくしに誓いを立ててくれたなと。その時の誓いを、今でも守っていてくれたのだと、改めて思ったのです」

「誓い?」

「はい。元々ダンは、わたくしが無理を言って、わたくしの側に仕えて貰ったのですが、その……わたくし、他人がとても怖かった時期が有りまして……。でも、その時にダンが誓ってくれたのです。『互いに誰かと結婚しようがしまいが、一生傍に居て守ってやる』って。『嬢ちゃんを傷付けようとする奴は、片っ端から倒してやるから、俺が味方だって事は忘れるな。裏切る事は絶対にしない。俺の分身と呼べるこの短剣に誓ってやる』と、小さな子供相手に誓ってくれたのです。わたくし、その時はまだ小さな子供だったので、それ程深い意味が有るとは知りませんでしたが、とても嬉しかったのです」


    リラのその言葉を聞いて、エドワルドは二人の信頼の強さを見せ付けられ、ズルいなと思う反面、そんな相手に出会えた二人を少し羨ましく思うのだった。
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